AIに負けない子の育て方 第14回

“中受”が正解? 中学受験を選ぶ前に知っておきたい、「高校受験」4つのメリット

「当然、中学受験をすべき」と考える保護者もいるでしょう。しかし、受験ジャーナリストの中曽根陽子さんは「中学受験はしなくてもいい」といいます。なぜでしょうか。書籍『親子で勝ち取る最高の合格』の一部を抜粋・再構成してお届けします。

高校受験のメリット

1. 教育費を抑えられる

高校授業料無償化の範囲が広がっているので、中学から私学に行くより、教育費の負担は少ないです。塾の費用も、中学受験塾より負担は少ない傾向があります。

2. それまでの環境をリセットできる。新しい環境で人脈も広がる

中学受験を選ぶ理由として、同じような環境の人が集まるので安心という声がありますが、裏を返せば多様性に欠け、交友関係が固定化しやすいともいえます。高校受験に臨むことで、全く新しい環境に入れるのはメリットの一つでしょう。

3. 小学生から受験のための塾通いをする必要がなく、子ども時代をのびのび過ごせる

中学受験対策塾では、夜の9時すぎまで授業があることも、少なくありません。子ども時代に遅くまで机に向かう必要がなく、ゆったりとした時間を過ごせるのは、高校受験を選ぶメリットだといえるでしょう。

4. 本人の意思を最優先できる

本来、中学受験、高校受験ともに、親が全てをコントロールするのではなく、上手にサポートする必要がありますが、高校受験のほうが、より子どもの意思を優先できます。

いかがでしょうか。高校受験のメリットをお伝えしましたが、最終的な「これが正解」は正直ありません。子どもにどちらが合っているかを見極め、子どもがどうしたいかを聞いたうえで、それぞれの家庭で判断するしかないと思います。

中学受験に必要なのは、なぜ受験をするのかという「軸」

ただ、中学受験を選ぶということは、10~12歳で目標に向けて挑戦することになるので、精神年齢の高いお子さん、ある程度の学習習慣が身についているお子さんのほうが取り組みやすいでしょう。反対にまだ精神的に幼くて、勉強に向き合う姿勢が育っていない子は、高校受験を選んだほうがいいかもしれません。

しかし、中にはそういうお子さんだからこそ、サポートがきめ細かい印象のある中高一貫教育を選びたいという人もいるでしょう。そういう場合はなおのこと、世間の価値観に流されず、お子さんに合う塾や学校を選ぶ必要があります。

中学受験をするかしないかを考える前に、受験した先にある中高一貫教育で何が得られるのか、そこで子どもに何を経験してほしいのかを考えてみてください。

わが家の軸をしっかりと持って選べば、どんな選択をしても後悔することはありません。

2024年8月22日発売の新刊『親子で勝ち取る最高の合格』(青春出版社)では、「中高一貫教育のメリット・デメリット」もご紹介しています。

他にも、「最新の入試動向」や「塾の選び方・付き合い方」、「学校選びの10のチェックポイント」といった中学受験の基本情報に加え、後悔しない中学受験にするための「受験軸のつくり方」や「親子の信頼関係のつくり方」を徹底解説! 中学受験をすると決めたら、「何のために受験をするか」「どんな受験にするか」を子どもと一緒に話し合い、受験軸を持って臨んでくださいね。
 
<中学受験>親子で勝ちとる最高の合格
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この記事の執筆者:中曽根 陽子
数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストとして、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエーティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。お母さんが幸せな子育てを探究する学びの場「マザークエスト」も運営している。『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)など著書多数。
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