ところが今回、日本では「パリ五輪があまり盛り上がっていないのでは?」という声をよく耳にする。また、ネット上などでもそうした意見が見受けられる。事実、過去の五輪と比べるとそれほどお祭り騒ぎにはなっていないのだ。
なぜ盛り上がっていないのか。今回は、その理由を探ってみたい。
パリ五輪で競技に入っていない「野球」「ソフトボール」
まず日本で盛り上がっていない理由の1つは、日本では人気の競技種目がない、というのがある。例えば、前回の東京五輪では、人気スポーツの野球で“侍ジャパン”が、さらにソフトボール女子日本代表が金メダルを獲得し、大いに盛り上がった。だが、パリ五輪ではどちらも競技に入っていない。日本で人気が高く、日本が得意とする競技で、多くの顔なじみの選手たちが4年1度という五輪の舞台で活躍するとなれば、盛り上がらないわけがない。ちなみに視聴率が低迷していると言われる昨今だが、東京五輪の野球日本代表の試合では、決勝戦の世帯視聴率が37%(関東地区)を記録している。
「審判の不可解なジャッジ」である意味盛り上がってしまった
さらにパリ五輪が盛り上がりに欠けたと言われる理由は、日本代表が好成績を残せていないことも事実としてある。選手たちが準備を重ねてきて、大会でも健闘しているのは分かっている。ただ「メダル獲得」という視点で見れば、8月9日時点での世界ランキングは6位で、前回の東京五輪時と比較して低いランクになっているのは事実である。東京五輪開催時の民放テレビの視聴率ランキングを見てみると、当時、大いに盛り上がった競技は、野球、ソフトボール、サッカー、マラソン、卓球、柔道。これらの競技が上位を占めているが、今回のパリ五輪では野球とソフトボールは競技がなく、サッカー日本代表は男子も女子も、準々決勝でメダルに届かず敗退した。ベスト8に入っただけでも本来はすごいことなのだが、成績としてはメダル獲得から遠かったこともあって、日本で大きな盛り上がりなるまでには至らなかった。
バスケットボール男子日本代表も最近どんどん人気が高まっていることで注目されていたが、スタープレーヤーの八村塁選手が、けがでチームを離脱するなどし、3戦全敗でパリ五輪を終えている。
柔道も、国技ということもあっていつもながら注目度は高く、選手も検討したと思うが、今回はあまり盛り上がっていない印象だった。SNSなどでは、やはり国技として「プライドが許さない」と感じた視聴者たちが、審判による不可解なジャッジがあったとしてある意味では盛り上がっていたが、それは大会の盛り上がりとはまた別の次元の話だと言えよう。
卓球も、世界的な日本人選手の健闘は言うまでもないが、あまり結果にはつながっていない。金メダルをかけてライバル国との接戦が続く、というような手に汗握るような展開には残念ながらなっていない。