本作は後述する特徴もあって、前作を見ていなくても、予備知識がなくても楽しめる内容ですが、ただ1つ事前に知ってほしいのは「エンドロール後にも重要なおまけがある」こと。お子さんがよほどぐずったり、トイレに急いだりしない限り、最後まで席に座っておくことをおすすめします。
その魅力と面白さを、ネタバレにならない範囲でさらに紹介しましょう。
アニメーション映画史上No.1の超大ヒットに!
『インサイド・ヘッド2』は、まずは歴史的超大ヒットについて触れなければならないでしょう。なんと『アナと雪の女王2』をも追い越して「アニメーション映画史上世界No.1」を達成しており、全世界での興行収入はすでに15億ドルを突破。ケルシー・マン監督とマーク・ニールセンプロデューサーからのお礼のメッセージも届いています。評価も絶賛の声が多く、アメリカの批評サイトRotten Tomatoesでは執筆時点で批評家支持率91%、オーディエンススコアも95%までに到達。前作から「ピクサー最高傑作」と呼ばれており、ハードルがとてつもなく高い続編にもかかわらず、その期待をはるかに超える大成功作となったのです。
今回は冒頭から分かる「頭の中」の表現の面白さ
前作『インサイド・ヘッド』からある何よりの魅力は、「頭の中の感情」を個性的なキャラクターで表現したことでしょう。「ヨロコビ」「カナシミ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」という5人の感情が頭の中の「司令室」にいて、主人公の女の子のライリーを幸せにするために、それぞれが努力をしたり、はたまた失敗したりします。
その「脳内会議」的なアイデア自体は珍しいものではなく、同年2015年には漫画を原作とした映画『脳内ポイズンベリー』が公開されていましたし、ギャグ漫画では定番ともいえる表現でしょう。
しかし、それをピクサーの圧倒的な技術力のアニメで表現し、子どもがワクワクできる冒険が展開しつつ、大人こそがハッと気付かされる「(ネガティブにも思えるカナシミという)感情がなぜ必要なのか」という哲学的な問いかけも投げかけられています。誰もが楽しめ、かつ多層性のあるエンターテインメントに仕上げたことが、あまりに偉大だと思うのです。
そして、今回の『インサイド・ヘッド2』では、冒頭のアイスホッケーの試合から、スピーディーに「感情それぞれの指令」の面白さを改めて示すことも実に巧みです。 前作を見ている人にも「そうそう、こういう作品なんだよ!」と改めて思い出せますし、前作を見ていない人にとってもこの後の展開につながる「作品内のルール」が明確に分かるのですから。