世界を知れば日本が見える 第49回

もしトランプ氏が再選したら、世界は具体的にどう変わるのか。「確トラ」で予想される日本への影響

11月5日に控えるアメリカの大統領選投開票。共和党の候補者であるドナルド・トランプ氏の銃撃事件を経て、トランプ氏の勝利は間違いないと見るアメリカ国民も増えているが、実際にトランプ氏が再選したら、世界に対して具体的にどのような影響をもたらすのだろうか。(サムネイル画像出典:Michael Candelori / Shutterstock.com)

交流が深かった安倍元首相のいない日本で、どう向き合うべきか

そもそもトランプ氏は、暗殺された安倍晋三元首相と非常に仲が良かった。世界のリーダーたちがトランプ氏の扱い方や考え方を安倍元首相に聞いてくるくらいだったという。ただその蜜月の裏には苦労もあり、安倍元首相はトランプ氏との関係維持に、貿易関係などのむちゃ振りに対応しなければいけなかった。
 
例えば、アメリカでトウモロコシが大量に余った際には「日本が引き受ける」と記者会見で急きょ言わざるを得ないこともあった。安倍元首相はもういないので、トランプ氏とうまく付き合っていくには、こうした瞬時の対応ができるリーダーが日本には必要になるだろう。
 
日本経済への影響は未知数で、トランプ氏は円安の現状を好ましくないと発言しているが、実際にトランプ氏が再任した際に為替がどう変化するのかは専門家の間でも意見が割れており、はっきりと見通せない状況にある。ただ為替などが日本経済に影響を与えるので、その動向からは目が離せない。
 
トランプ氏は「予測不能」な人物であるとも言われているが、物事の決断には「アメリカファーストかどうか」「自分自身の得になるか」が根拠になっているようだ。そういう意味では分かりやすいのかもしれないが、その目的を実現させるための「ディール」には脅しを使う怖さがある。「確トラ」には今から備え始める必要があるだろう。
 
この記事の筆者:山田 敏弘
ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)。近著に『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)がある。

X(旧Twitter): @yamadajour、公式YouTube「スパイチャンネル
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