今回はタクシーとハイヤーの違い、自動ドアは日本だけのサービスなど、違いの分かる人になれるタクシーの豆知識をご紹介します。
「タクシー」と「ハイヤー」の違い
タクシーとハイヤーの大きな違いは料金システムで、それぞれの語源もそれを表しています。タクシー(taxi)は、乗った場所から降りた場所までの走行距離に応じて料金が発生するのが特徴。
元々はtaximeter cabriolet(運賃表示器の付いた一頭立ての折りたたみ式幌馬車)だったものが、略してtaxi cabと呼ばれるようになり、さらに略してtaxiに。アメリカではcabと呼ぶのが一般的です。
一方のハイヤー(hire)は、完全予約制で、営業所を出てから送迎を終えて戻るまで料金が発生するのが特徴。
元々は「雇う」という意味の言葉で、送り迎えのための車と運転手を専属で一定期間借りられるサービスです。
ただし、法律上はハイヤーもタクシーの一種で営業許可を得るにはメーターを付ける必要があるため、乗客には見えないところに搭載されています。
自動ドアは日本独自のサービス
タクシーの自動ドアは、実は日本独自のサービスです。日本でタクシーの営業が始まった当初は、乗務員が降りてドアを開け閉めしていましたが、出発が遅くなって交通の妨げにもなっていました。
1950年代後半に自動ドアが開発され、1964年の東京五輪の際、外国人観光客向けに大手タクシー会社が導入したことをきっかけに日本全国に広がっていきました。
なお、自動ドアといっても完全な自動ではなく、運転手が周りの安全を確認して操作しています。
電動スライドドアを採用している最近のタクシーも、運転手がスイッチを触っているときだけ開閉する「セミオート式」になっています。
「助手席」は元々タクシー用語だった
助手席の英訳は「passenger seat(乗客席)」で、助手の要素はありません。助手席は日本独自の呼び名で、元々はタクシー用語でした。自動ドアが登場するまで、タクシーには運転手の隣に「助手」が乗っていました。
ドアの開け閉めに加えて、当時のタクシー車両は外国製で車高が高く、着物の裾が引っかかってしまうため、乗り降りを手助けする助手が必要でした。
トヨタから1955年に発売された日本初の純国産設計車である初代クラウンのドアが観音開きになっていたのは、この助手の作業を軽減するためでもあったとされています。
助手が座る席を「助手席」と呼ぶようになり、それがタクシー以外でも使われるようになりました。
この記事の筆者:石川 カズキ
1984年沖縄県生まれ。筑波大学人間学類卒業後、会社員を経て芸人・作家・コピーライターに。エレキコミック・ラーメンズを輩出した芸能事務所トゥインクル・コーポレーション所属。第60回宣伝会議賞コピーゴールド受賞、LOFT公式YouTubeチャンネル『コントするイシカワくん』シリーズのコント台本・出演、KNBラジオCMコンテスト2020・2023協賛社賞受賞など。お仕事あればお気軽にご連絡ください。AIから仕事を奪うのが目標です。