引退する「ドクターイエロー」。座席数、ねぐら、後継車両…実はあまり知られていない7つの秘密
新幹線電気軌道総合試験車(通称「ドクターイエロー」)が引退する。東海道・山陽新幹線では2編成のドクターイエローが走行しているが、車両の老朽化に伴いJR東海のT4編成が、2025年1月をもって、JR西日本のT5編成も2027年度以降を目途に引退を表明した。
3. ドクターイエローのねぐらは?
大井車両基地の車庫で休むドクターイエロー
ドクターイエローは、普段は大井車両基地(東京都品川区)で休んでいる。T5編成の所属はJR西日本であるが、T4編成と同じく大井車両基地に常駐しているので、うまくすれば2編成ともに姿を見ることができるかもしれない。
東京モノレールの大井競馬場前駅から東に歩いて10数分。陸橋の上から車両基地の一部を眺めることができる。
4. ドクターイエローの後継車は?
老朽化により引退するドクターイエローの後継車はどうなるのか?
T4編成引退後はT5編成のみで検測を行う。T4編成が引退するまでの間にT5編成の必要な検査などを十分に行うとともに、T4編成の機器を予備品として確保するなど備えを万全に行うことで、現在の検査頻度を維持することができるという(JR東海の話)。
今後投入されるN700Sの一部に検測機能を搭載し、ドクターイエローの代わりとする
T5引退後、追加投入するN700Sの一部編成に、かねてより技術開発を行っていた地上設備の検測装置を搭載することにより、ドクターイエローによる検査を代替する。2027年以降はわざわざドクターイエローのような特別な列車を走らせるのではなく、営業列車による検査となる。
西九州新幹線「かもめ」に使用中のN700Sには、ドクターイエローの代わりを務める検測機能が搭載されている
また、新たな検測機能として、電車線設備の画像を解析して設備の異常を検知する機能や画像および点群データから軌道材料の状態を詳細に把握できる軌道材料モニタリング機能などを搭載する。これらにより、営業車両でドクターイエローと同等以上のデータを高頻度で取得可能となり、設備の安全性・信頼性が向上する。