斬新な演出と豪華俳優陣の演技に注目が集まる『滅相も無い』
次に紹介するのは、MBSで毎週火曜の24時59分から、TBS系では毎週火曜の25時28分から放送している『滅相も無い』です。4月16日に第1話が放送され、これまでのドラマになかった過激な演出で話題を集めています。出演者は中川大志さん、染谷将太さん、上白石萌歌さん、森田想さん、古舘寛治さん、平原テツさん、中嶋朋子さん、窪田正孝さん、堤真一さんがメイン。若手からベテランまで演技派俳優が勢ぞろいで、ナレーションは津田健次郎さんが起用されるという豪華な布陣となっています。
監督・脚本の加藤拓也さんは、「第67回岸田國士戯曲賞」「第30回読売演劇大賞演出家賞部門優秀賞」を受賞し、ドラマや映画でも活躍する舞台作家・映像作家として注目を集めるクリエイター。『滅相も無い』は完全オリジナルのSFヒューマンドラマとなり、初回から驚きの展開を見せました。
舞台のように楽しめる新感覚ドラマ!?
ストーリーは、突然7つの巨大な穴が現れた日本が舞台。穴の正体は分からないものの、「穴の教祖」とする小澤(堤真一)が現れることで、宗教的な「穴の中には救済がある」という説が流布。豪華な俳優陣は、小澤をリーダーとする団体の信者たちで、ドラマではそれぞれがなぜ穴に入ろうと思ったのか、エピソードを1人ずつ語る構成になっています。そのエピソードを語るシーンで、信者8人の会話は通常通りにロケ撮影していますが、過去の回想シーンなどはいきなり演劇スタイルになります。スタジオでセットチェンジや早着替えを取り入れながら、生の舞台作品のように演出。編集に頼らないリアルタイムで場面転換するなどスリリングな作り込みで、劇伴音楽を担当するUNCHAINがセットで実際にキャストの芝居に合わせ音楽を奏でるなど、新しい試みをいくつも繰り広げています。
熱心にストーリーを追うというより、通常のドラマに演劇が絡み合う実験的な作風を堪能するのがこのドラマの楽しみ方。とはいえストーリーも面白く、終末論や新興宗教が絡みながら思ってもいないような展開を迎えます。第1話では中川さんが演じた「川端」のエピソードがメインとなりましたが、「怒れないこと」に悩むという奇天烈なキャラクターでした。ドラマの設定もさることながら、登場人物も曲者ぞろいで毎回エピソードが気になるところです。
ドラマと舞台を両方楽しめる作品でお得感があり、演劇などが得意でない視聴者も30分という枠で製作されているので、非常に見やすく設計されています。今期の春ドラマではもっとも最終回の展開が分からない作品で、SNSなどで情報を取得しながら見るとより楽しさが倍増しそうです。