2018年に、コンビで出演していた『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)が終了してからは、それぞれソロとしての活動を本格化。コンビとしての姿を見られるのは、毎年恒例となっている正月番組『とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』(テレビ朝日系)くらいでした。
今回、『とんねるず THE LIVE』を開催することで、コンビとしての仕事も増えていく予感がビンビンとしています。そこで、この記事では元テレビ局スタッフで、とんねるずの影響を直撃している筆者が、コンビの魅力を再検証していきたいと思います。
高校の同級生コンビ・とんねるずのプロフィール
ここで改めて、とんねるずのプロフィールを簡単に紹介します。石橋貴明さんと木梨憲武さんのコンビで、2人はスポーツの名門として知られる「帝京高等学校」の同級生。1980年に結成すると、1982年には『お笑いスター誕生!!』(日本テレビ系)でグランプリを獲得して注目を集めます。その後、『オールナイトフジ』『夕やけニャンニャン』(ともにフジテレビ系)に出演し、破天荒なキャラクターでブレークを達成。
さらに、1985年に放送を開始したラジオ番組『とんねるずのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)が若い世代から絶大な支持を受けて、一気にスターの階段を駆け上がります。
漫才ブームの後に出現した、バラエティ番組のスーパースター
とんねるずが活躍し始めた1980年代は、漫才ブームが一段落して新たなスターを探している時期でした。そんな中とんねるずは、それまで活躍した漫才師たちとは一味違い、ものまねやアクシデントなどが起きる瞬発的な笑いを得意とする「部室芸」を作り上げます。同世代のウッチャンナンチャン、ダウンタウンとは違い、作り込まれた漫才やコントではなく即興的な笑いを披露。番組に出演するとどんなアクシデントを起こしてくれるのかと、ファンは2人の一挙手一投足に注目していました。
その勢いは『とんねるずのみなさんのおかげです』シリーズや、『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』(日本テレビ系)で生かされ、両番組で数々の伝説的な企画を立ち上げます。
『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』でもドッキリや大物ゲストとの対決シリーズ、心霊写真を使ったネタなど、令和のテレビ番組では放送できないような過激な企画を実現。さらに、一般人や著名人がカップル成立を目指す『ねるとん紅鯨団』(フジテレビ系)、著名人が提供する商品を参加者がオークションで競り落とす『とんねるずのハンマープライス』(フジテレビ系)など、新機軸の番組を次々とヒットに導きました。
漫才やコント(パロディコントの名作は多いが……)などネタをほとんど披露しないとんねるずは、それまでのお笑い芸人にいなかった異質なコンビとして、良くも悪くも脚光を浴び続けることになります。
そんなとんねるずの魅力は、石橋さんの大物芸能人にも物怖じしない押しの強いキャラと、木梨さんのひょうひょうとしながらむちゃをするアナーキーな攻撃性にあります。今ならコンプライアンスでNGの企画も多いですが、隣のお兄さん的存在の2人が、体を張りブラウン管の中で大暴れする様子を、多くの視聴者が熱狂して応援し続けました。
歌手としての大ヒットで、とんねるずはお笑い界の頂点に
そして、とんねるずを語るうえで欠かせないのがヒット曲の数々です。主に2人の活躍を支え続けた秋元康さんがプロデュースし、『一気!』『雨の西麻布』『迷惑でしょうが…』『炎のエスカルゴ』などを次々とリリース。さらに、1990年代に入ると人気が加速し、『情けねえ』『一番偉い人へ』を大ヒットに導きます。この2曲は、これまでさんざん悪ふざけをしてきた2人が、真剣に社会に問題提起をするようなメッセージソングとして発表。
とんねるずの人気があったから楽曲もヒットしたと考えられがちですが、全ての作品が秋元さんを中心にコンセプトを持ち制作され、初期の作品も含め名作ぞろい。コメディーとシリアスを縦横無尽に行き来しながら、全てを飲み込んでしまうようなセンスと影響力をとんねるずは持ち、お笑い芸人として芸能界の頂点に君臨することになります。