御宿 野乃は2022年だけでも大阪、仙台、松本、松江と全国4カ所に進出。2024年1月には浅草別邸がオープンし、今後も伊勢、福井、高知、熊本など、全国7カ所の開発計画が進んでいます。
筆者は、オープンしたばかりの「御宿 野乃浅草別邸」に宿泊。本記事では、宿泊リポートを交えてその理由と魅力を掘り下げていきたいと思います。
魅力1. 和風旅館とチェーンホテルの「いいとこ取り」
御宿 野乃とはビジネスホテルの機能性と和風旅館の風情をミックスしたハイブリッドホテルブランドです。機能性を重視したビジネスホテルと、家族や友人との観光需要に応えてきた湯宿、リゾートホテルを全国展開してきた共立メンテナンスだからこそ、その知見を生かして徹底的に両者の「いいとこ取り」を形にしたのが野乃。施設の特徴として特筆すべきは、「全館畳敷き」であること。これは、和風旅館の持つくつろぎを味わってもらいたいという思いからだそう。
ホテル入口の下駄箱へ靴をしまうと、館内は素足で過ごすことができます。足の裏に畳の優しい感触を感じ、まるで自宅に帰ってきたような安心感。部屋には館内着として作衣が用意されており、大浴場からレストランに至るまで、館内はそれを着たまま、裸足で移動が可能です。
靴やスリッパをはくことなく、食事のために着替える必要もない。他のホテル・旅館で「〇〇しなければいけない」とされる暗黙のルールが、ここではその考えぬかれた導線づくりによって排除されています。
今回宿泊した御宿 野乃浅草別邸も、東京・浅草の観光名所のど真ん中、浅草寺や花やしきからすぐの立地です。周辺には飲食店がひしめき、あれもこれも食べてみたくなります。東京観光を目的に訪れた観光客であれば、なおのことでしょう。
多くの和風旅館では1泊朝夕食付の宿泊プランがスタンダードですが、野乃では1泊朝食付きの宿泊プランがメイン。夕食付のプランがある施設もありますが、夕食の選択肢に多様性を持たせ、地元の飲食店等でめいっぱい楽しんで帰ってくるという過ごし方も推奨しています。
夕食の時間を気にする必要がないことは、宿泊者の活動スケジュールに柔軟性をもたらします。大浴場も夜通し入ることができるので、そこでの時間的制約も気にする必要がありません。宿泊者の行動導線に可能な限り時間的制約を設けないということも、「野乃流のおしつけにならないサービス」の1つの形なのだといいます。
全国に展開するドーミーインが各地でイチオシのメニューを提供する御宿 野乃浅草別邸の朝食ビュッフェは、東京・浅草ならではの牛鍋をはじめ、京の漬物に栃木の生ゆば、ご飯は魚沼産こしひかりで、味噌(みそ)汁は信州の山吹味噌(みそ)を使用。浅草のみならず、日本各地のおいしいものが大集結していました。
魅力2. さらなる進化を遂げた大浴場
ドーミーインといえば大浴場が人気です。御宿 野乃浅草別邸はこの大浴場にさらなる進化が加わります。広々とした大浴場にコンコンと注がれているのは、浅草観音温泉から引いている、黒湯。海洋ミネラルの含まれた真っ黒なお湯は、その見た目とは裏腹にしっとりとした優しい湯触り。東京ならではの黒湯に浸かり、さらに施設が力を入れているサウナへと向かいます。サウナの外には水風呂、ジャグジー。そして男性用の大浴場には、ひっそりと設置された「ととのい増強レバー」なるものが。赤いレバーを回すと、上からミストが噴射。サウナ好きの社員たちが「さらなる、ととのい」を目指して生み出した装置なのだとか。現在、試験的にドーミーイン岡山と、御宿 野乃浅草別邸で導入され、好評ならば導入店舗を増やす可能性を秘めているのだそうです。