今回は「喫茶店」と「カフェ」の違いなど、「違いの分かる人」になれる喫茶店の豆知識をご紹介します。
日本初の喫茶店はどんな店だった?
1888年4月13日、東京の上野に日本初の本格的な喫茶店「可否茶館」がオープンしました。店主の鄭永慶さんは長崎県出身で、アメリカの大学を卒業。イギリス・ロンドン、フランス・パリを経て、帰国後は家業である中国語通訳の仕事を継がず、西洋のコーヒー店を日本に導入することを決意して開業に至りました。
かけそばが8厘の時代に、インドネシア産のジャワ豆を使用したドリップ式のコーヒーを1銭5厘で提供。
店内には新聞、雑誌、ビリヤード台やトランプ、お風呂まで完備されていたそうです。
「喫茶店」と「カフェ」と「純喫茶」の違い
喫茶店は昔ながらの店でカフェは若者向けの店、といったイメージの違いはありますが、「喫茶店」と「カフェ」は実際には具体的に何が違うのでしょうか。2021年6月に食品衛生法が改正されるまでは、喫茶店は「喫茶店営業許可」で、取得するハードルが低い代わりに調理は加熱のみ、アルコールも販売できませんでした。
一方のカフェは「飲食店営業許可」で、加熱以外の調理も可能、アルコールも深夜以外は提供できますが、その分取得のハードルが高いものでした。
しかし、現在の法律においては、喫茶店とカフェに違いはありません。
法改正後は喫茶店の営業許可が廃止されてカフェと同じ「飲食店営業許可」が必要になったため、法的な区別はなくなりました。
ちなみに「純喫茶」は、純粋にコーヒーを味わう喫茶店という意味です。喫茶店が日本に増え始めた大正から昭和初期にかけて、アルコールの提供や接待を伴うタイプの喫茶店も少なくなかったため、そうした店との差別化として使われるようになりました。
モーニング発祥の地は名古屋じゃない!?
店の数も利用金額も全国トップクラスの「喫茶店王国」である名古屋。トーストやゆで卵が無料で付いてくる豪華なモーニングサービスが盛んなことで知られていますが、実はこのモーニング、発祥の地は名古屋ではありません。諸説ありますが、名古屋の北にある一宮市が発祥。繊維業が盛んだった1960年前後に、機織り機の音が騒々しい社内を避けて近所の喫茶店を応接室代わりに使う機屋が多かったため、そんな常連さんたちへのサービスとして、ある店がコーヒーにピーナッツやゆで卵を付けるようになったのがきっかけとされています。
愛知県東部の豊橋市でも同時期にトーストを付けるサービスが始まったともいわれていますが、距離の隔たりがあるため、名古屋モーニング文化との直接のルーツは一宮が有力とされています。
コーヒーだけでなく、食事やゆったりとした時間も楽しめる喫茶店。この機会に行ってみてはいかがでしょうか。
この記事の筆者:石川 カズキ
1984年沖縄県生まれ。筑波大学人間学類卒業後、会社員を経て芸人・作家・コピーライターに。エレキコミック・ラーメンズを輩出した芸能事務所トゥインクル・コーポレーション所属。第60回宣伝会議賞コピーゴールド受賞、LOFT公式YouTubeチャンネル『コントするイシカワくん』シリーズのコント台本・出演、KNBラジオCMコンテスト2020・2023協賛社賞受賞など。お仕事あればお気軽にご連絡ください。AIから仕事を奪うのが目標です。