これで、NHKの連続テレビ小説『舞いあがれ!』をはじめ、『スタンドUPスタート』(フジテレビ系)、『弁護士ソドム』『さらば、佳き日』(ともにテレビ東京系)、『下剋上球児』(TBS系)と、立て続けに連続ドラマへ出演したことに。
令和の「連ドラ女王」とも言える活躍を見せる山下さん。所属する乃木坂46からは、5月11・12日に東京ドームにて開催予定の卒業コンサートをもって、卒業が決定しています。俳優として大きく羽ばたこうとしている山下さんの魅力を、過去に一緒に仕事をしたこともある元テレビ局スタッフの筆者が解説していきます。
抜群の美貌とあざとかわいい“小悪魔キャラ”で人気を獲得
まず、山下さんのプロフィールを振り返っていきます。2016年9月に、乃木坂46の3期生オーディションに合格してグループに加入。デビュー当初から持ち前のビジュアルで注目され、人気メンバーが多い乃木坂46の中でも頭角を現していきます。そんな山下さんがブレークの兆しを見せ始めたのは、2018年に女性ファッション誌『CanCam』(小学館)の専属モデルに抜てきされてからです。次世代エースとして注目されていた山下さんは、人気ファッション誌でモデルになったことで女性からの人気も獲得。
さらに、この頃から“あざとかわいい”雰囲気が増し、出演するバラエティ番組などで「小悪魔キャラ」が定着します。2019年には、ドラマ『電影少女-VIDEO GILR MAI 2019-』(テレビ東京系)で主人公の1人・神尾マイを演じ、さらに男性が守りたくなるような小悪魔キャラが加速。お嬢様系のメンバーが多い乃木坂46ではあまりいなかったキャラクターとなり、山下さんの魅力に中毒者が続出することになります。
そんな小悪魔キャラでありながら、乃木坂46の活動では成長を重ね、ダンススキルや表現力も上がりコンサートで目立つ存在に。かわいい見た目とキャラクターなのに、パフォーマンスはキレキレ……ギャップが多い山下さんは男女問わず人気を集めていきます。
写真集の大ヒット……さらに俳優としての素質を開花
さらに2020年は、山下さんにとって人気が加速する年になります。1月に発売した写真集『忘れられない人』(小学館)は、セクシーなショットも豊富で大ヒットを記録。当時、山下さんの取材をしていた筆者は、正直その大胆な脱ぎっぷりに驚いた記憶があります。小悪魔キャラとは言いながらも清純派アイドルだった山下さんが、かなり攻めた内容のショットに挑戦。ただ、セクシーでありながら女性が見ても美しい写真ばかりで、モデル活動とリンクする形で同性からの支持を得ました。
勢いのままに、『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)の水曜シーズンレギュラーや、グループでは26枚目のシングル『僕は僕を好きになる』で初の表題曲センターを務めるなど一気に知名度が拡大していきます。
そんな山下さんですが、俳優として注目を集めたのが『着飾る恋には理由があって』(TBS系)への出演でした。
山下さんが演じた茅野七海は、本人のイメージとは若干離れた低温女子。女性視聴者から人気のTBS系火曜ドラマ枠への出演で、山下さんが演じた等身大の現代女性である七海は、同性からも大きな反響を呼びました。
ドラマは主演を川口春奈さんが務め、主要キャストは横浜流星さん。インテリアメーカーを舞台とした作品で、大人の恋愛模様が描かれます。
七海はしっかり者ながら、感情が分かりにくい性格で仕事も彼氏もまあまあな多くの働く女性が共感できるキャラクター。作中でも人気を集め、Paraviオリジナルストーリー『着飾らない恋には理由があって』で、山下さんが主演を担当したほど。トップアイドルでありながら、恋や仕事に悩む会社員を見事に熱演します。
高橋文哉さん演じる半人前の後輩・秋葉亮との関係性も胸キュンなストーリーで、山下さんの演技力の高さが証明されました。
朝ドラ出演で大ブレーク! “連ドラの女王”へと躍進
当時、山下さんの評判はテレビ業界で高まり、グループでの活動しか知らない筆者の仕事仲間は、『着飾る恋には理由があって』関連の仕事で山下さんを若手俳優の有望株として認識し始めました。そんなさなかに出演したのは、2022年10月に放送を開始したNHKの連続テレビ小説『舞いあがれ!』です。現役の乃木坂46メンバーが「朝ドラ」に出演するのは初であり、大きな期待がかけられていることを証明しました。
山下さんが演じた望月久留美は、福原遥さん演じる主人公・岩倉舞の幼なじみで大親友。常に舞の挑戦を一緒に喜び、ともに励まし合いながら人生を歩む役です。
そんな久留美は家庭環境が複雑で、両親が離婚し一緒に暮らす父親がだらしない生活をしていることで、金銭的な余裕もない中で生活しています。堅実に看護師を目指しながらも紆余曲折あり、主人公の舞以上に、久留美が幸せになることを願った視聴者も多かったはずです。
久留美はそんな環境にあっても腐らず、強い心を持った女性として、まさに朝ドラにピッタリなキャラクターとなりました。関西の女性らしくはっきりとした性格で勝ち気な部分もある久留美は難しい役でしたが、見事に山下さんは表情豊かに表現。
『着飾る恋には理由があって』の七海とは違う性格や環境ながら、そのドラマに合わせた「等身大のキャラクター」を演じたことで、俳優としての力量の高さを見せつけました。