松平健、自ら発案のキラキラ衣裳に「最初お客さんが引いてました」。世代も超越「マツケン」人気の理由

“マツケン”の愛称で幅広い世代に愛される時代劇スター、松平健さんにインタビュー。芸能生活50周年記念公演を前に、デビュー時の意外な「もしも」や、大ヒット曲『マツケンサンバII』誕生のエピソードをうかがいました。

松平健さん
松平健さんに「マツケン」キャラについての思いをインタビュー。
2004年に発表した『マツケンサンバII』が大ヒットし、“マツケン”の愛称で幼児から高齢者まで、幅広い世代に愛される時代劇スター、松平健さん。
 
2024年に芸能生活50周年を迎え、7月に記念公演を行う松平さんに、多方面からひっぱりだこの“マツケン”キャラへの思いなど、率直に語っていただきました!

日本人好みの要素を詰め込んだ『暴れん坊将軍』で国民的時代劇スターに

松平健50周年記念公演
7月の記念公演には、松平さんの代表作『暴れん坊将軍』も「マツケン」も登場! 松平健芸能生活50周年記念公演 写真提供:明治座
愛知県生まれの松平さんは、石原裕次郎さんに憧れて芸能界入り。何と刑事ドラマ『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)のレギュラー候補になったこともあるそうで、刀ではなく銃で戦うスターとなっていた可能性もあったようです。
 
「結局石原プロとはご縁がなかったけれど、その後、勝新太郎先生と巡り合って、時代劇に出させていただくようになりました。結果的にそれが私の持ち味に合っていたようで、運命だったんだなと思います」
 
勝プロダクションに入って4年後の1978年に、『暴れん坊将軍』の徳川吉宗役を射止めた松平さん。吉宗が貧乏旗本の“新さん”に変装し、江戸の町火消し・め組の人々と交流しながら悪人たちを退治してゆくドラマは、松平さんの清廉な二枚目ぶりもあいまって高視聴率を獲得。スペシャル回を含めると30年にわたる長寿番組となり、松平さんは押しも押されもせぬ時代劇スターとなりました。
松平健さん
“時代劇スター”の風格がにじみ出る松平健さん 撮影:松島まり乃
「『暴れん坊将軍』は、毎回(勧善懲悪で)スカっとする作りになっていて、日本人が好きな思いやりや人情が描かれているのが魅力だったんだと思います。家族みんなで観られる作品で、子どもにとっては“悪いことをすると成敗される”と学べる機会にもなったかもしれません(笑)。
 
私自身は自分を二枚目に見せようと意識したことはありませんでしたが、時代劇の基本は所作、立ち居振る舞いなので、日本舞踊を学んでのぞんだことが、色気のようなものにつながったのかもしれません」

“お祭り騒ぎの最終形態”として生まれた『マツケンサンバII』

マツケンサンバ
『大逆転!大江戸桜誉賑』(明治座)で披露された『マツケンサンバII』写真提供:明治座
以降、時代劇を中心に多方面で活躍する中で誕生したのが、『マツケンサンバII』。もともとは舞台公演のために作られた曲だったそうです。
 
「私の舞台(座長公演)では、いつも1部が芝居、2部が歌と踊りのショーとなっていて、最後には“終わりよければすべてよし”とばかりに、全員で踊ってお祭り騒ぎをする……というのが恒例でした。着物を着たショーなのではじめは“松健音頭”などをやっていたのですが、時代の流れの中で、だんだんテンポが速くなってきて(笑)、行きついたのがラテン系だったんです。

サンバですから、リオのカーニバルのイメージで、金ぴかの衣裳にしましょうよということを私から提案しました。それで、あの金色づくしの衣裳になったんです。初めてやった時は、お客さんがびっくりして引いていましたね(笑)」
 
『マツケンサンバII』の浮き浮きした曲調とまばゆいビジュアルは社会現象と化し、日本レコード大賞では特別賞を受賞、紅白歌合戦では歌手別最高視聴率を記録。その後も世代を超えて愛され続けています。
 
「この格好が面白いのだろうと思いますし、音楽的にも、私自身、歌っていて楽しい曲です。親しみやすいリズムなので運動会などでも使いやすいし、ご高齢の方のリハビリにも合う、とお医者様からうかがったこともあります。歌いながら踊るのに、ちょうどいい曲なんだそうです」

 令和の「今」、再び“マツケン”が求められる理由

近年は広告でも“マツケン”がひっぱりだこ。現在、渋谷のスクランブル交差点では、笑顔の“マツケン”の写真があしらわれた、某企業の巨大な看板が目に入ります。ブーム再燃の背景には、不景気による沈滞感や、コロナ禍の影響もあって人々が直接コミュニケーションをとりにくい社会のありようがあるのかもしれません。
 
「最近はSNSが発達していて、いいこともあるけれど、いっぽうでは(ネガティブなことが)すぐに広まって、窮屈さを感じる人が増えているような気がします。直接、人が集まる機会も減ってきたでしょう?(例えば上司が)若い人を誘いにくいということもあると思います。そんな中でこの歌は、私たちが世代を超えて一緒に盛り上がれる機会になるし、そういうことの象徴として、また注目されているのかもしれません」
松平健さん
ご自身の知らないところで“マツケン”のイメージがどんどん増殖しているのがただただ“不思議”という松平健さん 撮影:松島まり乃
2023年は各地に“マツケンサンバカフェ”が登場。“マツケン”のビジュアルをあしらったスイーツやフードを“映える~”“かわいい~”と言いながらスマホで撮影するOLや学生たちの姿がニュースでも取り上げられ、話題となりました。
 
「自分のキャラクターがいろんな形に変わっていって、びっくりすることが多いです。よく思いつくな、と(笑)。(カフェに若い女性たちが殺到したと聞いて)不思議でしたが、新鮮に映ったのでしょうか。でも、喜んでいただけるなら、それでいいんです。私がこれまで俳優としてやってきたのは、そういう思いがあってのことですので」
 
今年は松平さんにとって芸能生活50周年。「気が付けば、という感じで、50年は早かったですね。よくここまでやってこれたなと思います」と感慨深げに語ります。7月の明治座での記念公演では、一部が代表作の『暴れん坊将軍』、二部が「マツケン大感謝祭」という“キラーコンテンツ”二部構成になる模様。
 
「舞台で『暴れん坊将軍』をやるのは久しぶりなので、今、地上波で早朝に『暴れん坊将軍』を再放送しているのをご覧になっている若い方に、初めて実物をご覧いただけるいい機会かなと思っています。新さんが変装したりと、面白い仕掛けもあるようです。二部ではもちろん、『マツケンサンバII』を歌って踊ります。笑って泣いて、スカッっとするひと時、ぜひご一緒しましょう」

<公演情報>
松平健芸能生活50周年記念公演 7月6日~31日=明治座
 
松平健プロフィール
愛知県出身。1975年『座頭市物語』(フジテレビ系)でデビュー、1978年に『暴れん坊将軍』(テレビ朝日系)の主役、徳川吉宗役に抜てきされ、時代劇俳優としての地位を確立。舞台ではミュージカル『王様と私』への出演を皮切りに、ジャンルを問わず活躍。歌手としても『マツケンサンバII』が大ヒットし、NHK紅白歌合戦にも出場。菊田一夫演劇賞、日本映画批評家大賞主演男優賞など受賞歴多数。
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

編集部が選ぶおすすめ記事

注目の連載

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    東海道新幹線の「個室」が100系以来、四半世紀ぶりに復活! 「どこに設けられる?」JR東海に聞いた

  • 「婚活」の落とし穴

    「男らしさ」がしんどい若者たち。「女性より稼いで当然」「デートもリードすべき」と言われても

  • ここがヘンだよ、ニッポン企業

    危機管理のプロが警告! 中学受験で“御三家”を目指す親子が知っておくべき「学歴エリートの落とし穴」

  • ヒナタカの雑食系映画論

    『名探偵コナン 黒鉄の魚影』が、物語の「制約」を灰原哀の「居場所」へ昇華させた傑作である5つの理由