人月とは? 計算方法や工数の定義、見積もりのメリット・デメリットを解説

人月(にんげつ)の正しい意味を解説します。主にシステム開発などの業界で使用される人月という言葉の使い方や、メリット・デメリットを詳しく解説します。

人月の意味とは? 工数の定義や計算方法、見積もりのメリット・デメリットを解説
人月の意味とは? 工数の定義や計算方法、見積もりのメリット・デメリットを解説

システム開発やIT業界などで耳にする「人月(にんげつ)」という言葉。専門的な言葉であるため、一般の人はあまり耳にすることがないかもしれません。今回は、初心者でも分かる人月の意味を解説します。メリット・デメリットや類語についてもまとめていますので、ぜひご覧ください。

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<目次>
人月の意味とは
工数とは
人月で見積もりしてもらうメリット
人月で見積もりしてもらうデメリット
人月の類語と工数の計算方法
まとめ

人月の意味とは

人月(にんげつ)とは、プロジェクトの工数管理に用いられる単位のことです。ソフトウェア開発の分野で使用されることが多くあります。

・人月が表す意味

人月は「person」「month」を合わせた言葉で、1カ月あたりの1人の作業量を表しています。1日あたり8時間、月に20日稼働すると仮定した場合の仕事量が目安となっています。

・熟練者も素人も同じ1人月

人月の計算においては、熟練者も素人も同じ作業量を想定することが一般的です。当然、作業の進み具合に差は出ますが、工数計算上は全て同じ「1人分」として扱われます。

・人月は工数管理において使われる

人月のほかに、人日(にんにち)や人時間(にんじかん)という単位もあります。これらは全て、その作業(プロジェクト)にどの程度の時間を要するか判断するための数値です。

工数とは

人月を理解するにあたって、工数(こうすう)の定義についておさらいしましょう。

・工数の定義

ある作業の着手から完了までにかかる時間のことを工数と呼びます。人数と時間軸で測られることが原則で「何人」「何時間」という2つの観点から工数を割り出します。

・工数管理はなぜ必要?

工数を管理しておくことで、事業全体の進捗(しんちょく)も把握しやすくなります。製品やプロジェクト、サービスなどが「いつできるのか?」が分からなければ、その後の予定も立てにくくなるためです。またあらかじめ必要な従業員の人数を明確にしておくことで、人材配置の際にも役立ちます。

人月で見積もりしてもらうメリット

人月で見積もりしてもらうと、以下4つのメリットがあります。

・メリット(1)工数見積もりの精度が上がる

システム開発においては、複雑な作業それぞれに価格をつけることが難しいケースがあります。人月という単位で統一することで、エンジニアなどの専門家側もそうでない人も、同じように予算感を把握しやすくなります。

・メリット(2)進捗状況を把握しやすい

人月で作業工程を管理すると、進捗状況が分かりやすいメリットもあります。人月以外の人日などの単位も使いながら日々の進捗を管理すると、遅れが出にくくなるでしょう。

・メリット(3)プロジェクトの作業量が分かる

全体の工数を先に確認することで、プロジェクト完了までの作業量も割り出せます。どの程度の人員を配置すれば良いのか、時間はどのくらいかかるのかなどを事前に共有できます。

・メリット(4)プロジェクト予算の見積もりができる

人月の単位で見積もりを行うことで、予算管理が行いやすくなります。「Aの作業に何時間かかるか」といった試算ではなく「全体で何人配置すれば良いのか」が分かると費用も割り出しやすくなるでしょう。

人月で見積もりしてもらうデメリット

人月で見積もりする際にデメリットと言えるのは、以下の3点です。

・デメリット(1)見積もり額を誤魔化される

人月は1人あたりの作業量をベースに判断しますが、実際にどの程度の作業スピードで行ってもらえるかまでは不明です。つまり、ゆっくり作業したと想定し、多めの人月がかかると言われるおそれもあるかもしれません。できれば、あらかじめ詳しい工程や作業内容などを確認しておくと良いでしょう。

・デメリット(2)柔軟に対応してもらえない

人月で見積もりを行うと、それ以上の人員を追加してもらえないケースもあります。イレギュラーなことが発生したり、変更が求められたりした際も柔軟に対応してもらえないことがあるかもしれません。契約時に、トラブル発生時や追加発注の取り決めを行っておくのも1つの手段です。

・デメリット(3)人を増やせば納期が縮まるわけではない

人月はプロジェクト全体の工程を踏まえて計算されるため、単に人数を多くすれば良いわけではありません。1つずつ試作や検証を繰り返す必要がある場合、人数が多くても早く進行できないケースも多いからです。

 人月の類語と工数の計算方法

人月の類語には、以下の2種類があげられます。どちらもあくまで目安の単位となるため、ぴったりこの時間内で終わるというわけではありません。

・人時の意味と計算方法

【人時の計算式】人数×作業時間

人時(にんじ)とは、1時間あたりに1人がこなす作業量を表した単位です。例えば「10人時」の場合、1人で作業すると10時間、2人で手分けすれば5時間です。

・人日の意味と計算方法

【人日の計算式】人数×日数

人日(にんにち)とは、1日あたりに1人がこなす作業量を表した単位です。例えば「6人日」の場合、3人の作業員が2日間稼働する必要があることを表しています。

まとめ

人月は見積もりを作成したり、プロジェクトのボリューム感を把握するために重要な単位です。しかし、知識がない人からすれば、どのような作業内容であるか不透明なこともあるかもしれません。もし見積もりで気になる点があれば、作業開始前に詳しく確認しておくと良いでしょう。
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