ボトルネックとは? ビジネスでの使い方や意味、例文、原因や解消方法を解説

「ボトルネック」とは、一連の業務プロセスの流れを阻害し、生産性や効率の低下を招いている箇所のことです。ボトルネックの意味やビジネスにおける使い方を例文とともに解説し、ボトルネックを解消するフレームワークについても紹介します。

ボトルネックとは
ボトルネックとは? 意味や使い方を解説

業務改善や生産管理などの文脈で、「ボトルネック」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。業務を円滑に進めていくには、ボトルネックの特定と解消が必要不可欠と言えます。今回は、ボトルネックの意味や各業界における使い方、ボトルネックが生じる原因、解消につなげるフレームワークなどについて解説します。

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<目次>
ボトルネックの意味とは
【業界別】ボトルネックの使い方と例文
ボトルネックが生じる原因
ボトルネックの解消方法「TOC」の手順とポイント
まとめ

ボトルネックの意味とは

「ボトルネック」とは、一連の業務プロセスの流れを阻害し、生産性や効率の低下を招いている箇所のことです。

由来となった英語の「bottleneck」は、もともと「瓶の首」という意味を持っています。また、「交通渋滞が起きる場所」「障害」「障壁」を指すこともあります。

瓶の首は細くなっているため、中に入っている水の量に関わらず、水の量や出てくるスピードは一定に制限されます。

このような瓶の特徴になぞらえて、業務のスムーズな進行を妨げている要素のことを「ボトルネック」と表すようになりました。ビジネスシーンにおいては、単に「ネック」と呼ぶこともあります。

それまで業務が支障なく進んでいたとしても、ボトルネックが存在するとそこで作業が停滞するため、他の工程にも悪影響を及ぼしてしまいます。時間の浪費やコスト増にもつながりかねないため、早急な解決が求められます。

【業界別】ボトルネックの使い方と例文

次に、各業界における「ボトルネック」の使い方と例文をご紹介します。

・製造業におけるボトルネック

製造業では、製造工程における処理スピードが遅いために作業が詰まり、生産性の低下を招いている箇所を「ボトルネック」と呼びます。例えば、A工程が10個/1時間、B工程が5個/1時間、C工程が10個/1時間という作業があったとします。A・Cの工程は1時間に10個ペースで作業できるのに対し、Bはその半分しか処理できません。すると、AからBの間で製品の作業待ちが生じるほか、本来は倍の数に対応できるC工程も、B工程と同じスピードでしか作業を進められなくなってしまいます。このケースでは、B工程がボトルネックになっており、全体の生産性を落とす原因となっています。

【例文】「人手不足で機械を3分の2しか稼働させることができず、これが生産を遅らせるボトルネックとなっている」

・IT業界におけるボトルネック

IT業界における「ボトルネック」とは、システムやプログラムの処理速度を遅延させている箇所のことです。また、低スペックのPCパーツによって高スペックのPCパーツの性能が制限され、全体のパフォーマンスが低下していることを指す場合もあります。

【例文】「システム障害の原因を精査しているが、現状の解析では、サーバーがボトルネックになっている可能性がある」

・経営管理におけるボトルネック

経営管理やプロジェクトにおける「ボトルネック」とは、その事業や戦略の進行を妨げる要因のことを指します。この場合、ボトルネックとなり得るものは、資材や資金、人材、仕組みなどさまざまです。

【例文】「事業の成長を加速させるにあたり、ボトルネックになっているのは人材不足だ」

ボトルネックが生じる原因

ボトルネックが生じる背景には、さまざまな要因があります。これらは、近年の企業を取り巻く課題とも共通しており、幅広い観点から解決を図る必要があります。

・人手不足による処理能力低下

ボトルネックが生じる原因としてまず挙げられるのが、人手不足です。少子高齢化により、生産年齢人口が減少し続けている現代日本においては、業界・業種を問わず人手不足が指摘されています。業務をスムーズに進められるだけの人材が確保できないために、処理能力が落ちてしまい、ボトルネックが生じることがあります。また、作業を急ぐあまりクオリティが低下してしまうことも、業務の停滞を招く一因となり得るでしょう。

・業務の属人化(ブラックボックス化)

業務が属人化していることも、ボトルネックを引き起こす要因の1つです。属人化とは、ある業務の内容や進め方を、特定の担当者しか把握しておらず、業務の一切を当人に頼ってしまっている状態(ブラックボックス化)のことを指します。代替が効かない上、担当者の稼働状況が業務のスピードに直接影響するため、作業が滞るリスクがあります。業務の属人化は、縦割りによる業務分担が行われているチーム・組織で特に起こりやすいと言われています。

・アナログ業務

紙ベースでのやり取りなど、いわゆる「アナログ業務」がボトルネックの原因になっていることも少なくありません。「手渡しするために担当者を探し回る」「決裁者が不在でハンコをもらえない」といった事態が起こると、そこで流れが悪くなってしまいます。特に、承認プロセスを複数回踏まなければならないような大きな組織では、このような傾向がしばしば見られます。近年はビジネス領域でもDX化が進んでおり、デジタルシフトによって課題解決を図ろうとする動きも広がっています。

ボトルネックの解消方法「TOC」の手順とポイント

最後に、ボトルネックの解消方法として広く活用されている「TOC」と実践の流れについて解説します。

「TOC(Theory of Constraints)」とは、ボトルネックとなっている部分を見出し、改善・解消を継続することで全体最適を目指す考え方です。物理学者のエリヤフ・M・ゴールドラット氏によって提唱されたもので、制約理論とも訳されます。TOCの最終的な目的は、組織全体の生産性向上や効率化です。一般的に、TOCは「5段階集中プロセス」と呼ばれるフレームワークに沿って実施されます。

(1)ボトルネックの特定

はじめに、一連の業務プロセスを整理、分析した上でボトルネックとなっている部分を特定します。課題点は思いつく限り全て洗い出し、特に取り組みを進めるべきものから優先順位をつけていきましょう。ツールなどを使用し、定量的な分析を行うことも有効です。

(2)ボトルネックの徹底活用

ボトルネックが特定できたら、次はボトルネックを徹底活用する方法を検討します。ここでの「活用」とは、新たな人員や設備を投入することではなく、「現状の環境の中でパフォーマンスを最大化させる」ことを意味します。業務を見直し、今できる最大の改善を図りましょう。

(3)他プロセスをボトルネックに合わせる

次に、最も効率が低い部分であるボトルネックに合わせて、他のプロセスの処理能力・パフォーマンスを下げます。一見すると、全体的な生産性が落ちるため非効率に感じられますが、余剰生産などによって生じる無駄なコストを削減でき、スループットの向上が期待できます。ただし、このステップは最も難易度が高いとされています。「利益が低下する方針には舵を切れない」「人員削減や配置転換は受け入れられない」など、独自の組織慣習や経営者の価値観に阻まれたり、反発を受けたりして、TOCによる改善を諦める企業も少なくありません。

(4)ボトルネックの強化・改善

ステップ2、3を踏まえ、ボトルネックの強化・改善に着手します。ステップ2と異なるのは、ここでは新規リソースを投入できるという点です。例えば、新たな設備を導入する、スキルアップ研修などの人材育成を行い従業員の能力を高める、などの方法が挙げられます。これによってパフォーマンスが向上し、ボトルネックの解消が実現されます。

(5)新たなボトルネックの発見と改善を繰り返す

ステップ1~4を実践し、ボトルネックが解消されても、別のプロセスにおいて新たなボトルネックが生じる可能性があります。業務の流れを常に意識し、ボトルネックとなっている箇所の発見と改善を継続していくことが大切です。このサイクルを繰り返してブラッシュアップを重ねることで、全体的な業務効率化や生産性の向上が実現します。

まとめ

ボトルネックの存在は、業務の生産性を低下させるだけでなく、事業や組織の成長を阻害する要因でもあります。まずは、TOCのフレームワークに基づいてボトルネックの特定を丁寧に進め、分析と改善を確実に実施しましょう。プロセスは何度も繰り返すことで全体最適に近づいていきます。企業の持続的な成長のためにも、継続して取り組みを進めましょう。
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