『おっさんずラブ』『不適切にもほどがある！』――“おっさんのおふざけドラマ”が深くて面白すぎる！

おっさん同士の純愛だからこそ見える“本当の愛”

さて、『おっさんずラブ-リターンズ-』も、『不適切にもほどがある！』に負けず劣らず見どころ満載です。2016年に深夜ドラマとして誕生し、2018年に連続ドラマ化された『おっさんずラブ』。根強い人気を誇り、2019年には『劇場版 おっさんずラブ 〜LOVE or DEAD〜』も制作されています。

2018年に放送された“初代おっさんずラブ”の続編となる『おっさんずラブ-リターンズ-』は、田中圭さん演じる主人公・春田創一と、林遣都さんが担当する牧凌太の結婚生活を中心に描かれます。簡単に説明すると『おっさんずラブ』シリーズは、男性同士の恋愛をテーマとした作品です。とはいえ、BL要素は薄めで、基本的には女性の出演者が少ない純愛ラブコメ作品となります。

吉田鋼太郎さん演じる独特なキャラクターの黒澤武蔵は今回も健在。より密度が濃くなった3人の男性が、「人を好きになることの本当の意味」を見せてくれます。

とはいえ真面目なラブストーリーではなく、コメディー要素ばかりで随所に笑えるポイントが満載。春田・牧・黒澤の三角関係は前シリーズで終結しているかと思いきや、ひょんなことからいざこざが勃発します。春田と「天空不動産」で働いていた黒澤は退職したものの、再就職した会社から派遣される「家政夫」として2人の家に出入りすることに。
  そこでは、牧に対して小姑のようなネチネチとしたカラミを繰り広げます。牧と黒澤のバトルは今回も名物となり、事あるごとに小競り合いする2人の行動が嫁姑問題を見ているようで痛快です。

新たな登場人物やパロディ演出でコメディー要素満載！

さらに、同作では、井浦新さんと三浦翔平さんが参戦し濃すぎる純愛を見せます。
  2人は「公安の警察官」という設定で、井浦さんが演じる和泉は、春田そっくりの警察時代の後輩で恋人だった真崎を捜査で失ったことが判明。この真崎は田中さんが2役を演じているのですが、真相が明かされる第4話では、昨年大ヒットしたドラマ『VIVANT』（TBS系）を大胆に使ったパロディ演出が披露されます。

ちなみに、この回では眞島秀和さん演じる武川政宗が、真実の愛を求めるため恋愛リアリティー番組に出演するシーンも登場。相手役のラガーフェルド・翔には、ディーン・フジオカさんを豪華に起用するこだわりを見せます。この演出は、Prime Videoで放送する『バチェラー・ジャパン』をパロディ化したもので、特大の笑いを提供してくれました。
 
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随所で良質なネタをちりばめ、レベルの高いコメディー演出を見せてくれる『おっさんずラブ-リターンズ-』。とはいえ、この作品は笑いだけでなく、真実の愛を考えるきっかけをくれます。

おっさん同士というイロモノ的に聞こえる構成ながら、それぞれの登場人物が抱える“人を好きになる”という気持ちはピュアそのもの。その姿が、通常の恋愛ドラマとは違い男性同士という点で、より深く考えさせられる仕上げになっています。コメディー作品ながらも、制作陣はおっさん同士だからこそより丁寧に恋愛を描き、しっかりと登場キャラの心情も表現。そこには、男性と女性だから考え方が違うという垣根はなく、男同士だからこそ「人間」としての愛の形や幸せを求める姿が描かれます。

もしも、男性同士の恋愛ドラマだからと食わず嫌いしている人がいるなら、一度は見る価値があると思える作品です。

気軽に見れて、深く考えさせられるドラマは必見

ここまで、2024年の冬ドラマで異色の作品となる、『不適切にもほどがある！』と『おっさんずラブ-リターンズ-』の魅力を紹介しました。両作品ともに、スカッと笑えるコメディ作品でありながら、内容が濃くいろいろと考えさせられる良質なドラマとなっています。

最近では、大胆な伏線回収がドラマのブームとなり、SNSで考察する人が増えました。対して今回紹介した2作品は、そこまで難しく考えなくても、気軽に見ることができるドラマです。分かりやすい作りながら、しっかりと練り込まれたストーリーは面白く、ハマること間違いなし。まだ見ていないなら、今からでも遅くないので見逃し配信サービスなどをうまく使って、楽しんでみることをおすすめします。