それぞれが個性的なストーリーの作品ですが、共通しているのは「おっさん」が主人公で、「悪ふざけ」をベースにしながら、しっかりと考えさせるような深いテーマを扱っていること。笑いながらも、胸に残るものがある……そんな作り込まれた構成がファンを魅了しています。
実際、『不適切にもほどがある!』第1話は、TVer、TBS FREEの無料配信総再生数が340万回を突破。金曜ドラマ史上で、初回の無料配信総再生数として記録を更新するほど注目を集めています。
今回は、そんな『不適切にもほどがある!』『おっさんずラブ-リターンズ-』の魅力に改めて迫ってみたいと思います。
宮藤官九郎が描く、“昭和脳”で見るおかしな現代
まず紹介するのは、『不適切にもほどがある!』です。阿部サダヲさんが主演を務め、脚本は宮藤官九郎さんが担当。共演者には、仲里依紗さん、吉田羊さん、磯村勇斗さんという実力派がそろっています。ドラマは、主人公である中学の体育教師・小川市郎が1986年から2024年へタイムスリップしてさまざまな騒動を起こすストーリーです。キーワードは「昭和」と「コンプライアンス」で、規制ばかりでがんじがらめのテレビ・芸能界に、痛烈な問題提起をするブラックジョークが満載。「意識低い系タイムスリップコメディー」作品として、放送ごとにSNSでは大絶賛の声が寄せられています。
ここ最近のドラマでは見られないようなシーンばかりで、市郎は昭和のおじさんらしくあたり構わずタバコを吸い、女性軽視な発言を連発。初回放送では、中学の野球部顧問を務める市郎が、水を飲まないなどの根性論を振りかざし、生徒に罰としてケツバットを披露します。令和の時代ならばすぐに社会的な制裁を受ける行動ながら、阿部さんのコミカルな演技もあり笑える構成となっています。
「お断りテロップ」を使いやりたい放題!
しかも、ドラマでは注意喚起の「お断りテロップ」をわざとらしく頻繁に出し、コンプライアンスに縛られるテレビ業界をネタに笑いのポイントを設定。例をあげれば、「この作品には不適切な台詞や喫煙シーンがふくまれていますが 時代による言語表現や文化・風俗の変遷を描く本ドラマの特性に鑑み 1986年当時の表現をあえて使用しています」とのテロップを露出し、その前後でむちゃくちゃな暴言や行動を見せます。こういった注意書きが何回もばかばかしいほど登場する演出で、SNSではテロップが出るたびに歓喜の書き込みが出現するほどです。
ちなみに今作は、これまで同局で、『池袋ウエストゲートパーク』『木更津キャッツアイ』『タイガー&ドラゴン』(全てTBS系)を阿部さん、宮藤さんと作ってきた磯山晶プロデューサーが制作。エッジの効いたドラマを作ってきた磯山さんが、規制が厳しくなる現代のテレビ業界に向けて挑戦しているようにも見えます。
ハラスメント・コンプラについて考えさせられる作品
さて、そんな「コンプライアンス」意識が低いドラマの世界で市郎は、次々と名言を生み出していきます。パワハラ問題で悩む磯村さん演じる秋津に対して、「ミスしたらケツバット、うまくいったら胴上げよ」と究極の根性論を伝授。さまざまなハラスメントに縛られる現代に嫌悪感を示し、「こんな時代にするために俺たち頑張って働いているわけじゃねえ」と厳しい一言を発し景気が悪い現代を嘆きます。現代ではハラスメントやコンプライアンスの意識が定着し、それによって守られている人も出ています。しかし、その本質を理解している人ばかりでなく、なんとなく世の中の流れに合わせているケースも多いのではないでしょうか? 市郎の言動は全てが称賛できるものではないですが、しっかりと考えるきっかけを与えてくれる演出になっています。
そんな市郎は、第2話で仲里依紗さん演じる渚が働くテレビ局にて、カウンセラーとして働くことに。今度は「働き方」について極論を振りかざし、働き方改革で翻弄される現代人を一刀両断します。常識にとらわれない昭和脳の市郎は、問題を解決こそしないものの、痛烈な問題提起をしていきます。
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今後、われわれが常識と思っていることを、どんな角度でネタにしてくれるのか、宮藤さんのキレキレ過ぎる脚本に期待です。