SMAP時代に培った、MCとしての実力を常に進化させている
中居さんのMCとしてのスキルの高さは多くの視聴者が知るところですが、ここで改めてその実力に迫ってみたいと思います。まず、中居さんがMCとして力を発揮しはじめたのは、グループで参加していた番組『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)でした。グループの中では早くからMCとして番組出演していた中居さんがコーナーやトークを仕切る事が多く、大物ゲストを相手にしっかりとした進行を披露。さらに、メンバーの特技やトークポイントをしっかりと構成に練り込み、番組の大ヒットに貢献しました。
さらに、TBSの五輪キャスター、『FNS27時間テレビ』(フジテレビ系)や『NHK紅白歌合戦』のMCなど、大型特番への参加により、その実力がメキメキと高まっていきました。
中居さんのMCの特徴としては、ギャグや悪ふざけなどをしても、決してゲストや共演者を追い込んだり陥れることをしない点です。国民的なトップアイドルとして活躍してきた中で、見ている視聴者が不愉快にならないことを念頭に置き、番組の調整を行っているところにあります。
また、時にはおちゃらけ無しで真面目に、しっかり番組を引き締められる統率力も兼ねそなえています。これまで、解散騒動ふくめSMAPという誰もが知る国民的人気のグループをまとめてきたのは間違いなく中居さんです。前代未聞の解散があった中、それでもなんとかメンバーがその後も活動を継続できたのは中居さんの功績が大きいと筆者は考えています。
そういった、シリアスな場面でもしっかりと視聴者を納得させるだけの「仕切り」ができる実力は、数多く大物MCがいる芸能界の中でもトップクラス。そんな奥義を身に着けたのは、自身の努力ももちろんですが、タモリさんと笑福亭鶴瓶さんの影響が大きいと感じます。
タモリ、笑福亭鶴瓶といった、一流MCの横で特技を磨く
タモリさんとは、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)にて長く共演し、肩の力を抜いて周囲を活かす話術を中居さんは間近で見てきました。中居さんが芸人から俳優、タレントたちをうまくまとめるMCを見せるのは、間違いなくタモリさんの影響が大きいでしょう。さらに、鶴瓶さんとは『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ系)で、長年に渡りMCとして共演。鶴瓶さんもまた力を抜いたMCを得意としながらも、『A-Studio+』(TBS系)ではシリアスで視聴者を感動させる人情派な一面も見せます。
この2人を合わせてハイブリッド化させたのが、いまの中居さんのMCとしての姿ではないかと考えます。そこに、共演が多かったナインティナインや松本さん、石橋貴明さんなどのクセや特徴もしっかりと受け継ぎ、中居さんならではのMC像を構築。誰もまねできないような、MCとしての力を磨き上げたと思います。
絶望的だった病気療養からの復帰で見せた、真骨頂の自虐ネタ
そんな中居さんがMCとして圧巻の実力を見せたのが、病気療養からの復帰劇でした。中居さんは、2022年に体調を崩し、11月から体調不良で休養を表明。病名が明かされなかったことでファンに大きな心配を与えましたが、2023年1月から徐々に復帰しました。前述したとおりに病名を明かさなかったことで、マスコミだけでなく視聴者も中居さんの復帰後の発言に注目。結果として、中居さんは番組に復帰した際、ネットニュースなどで「重病説」「年内死亡説」と報じられたことをトークテーマとし、自虐ネタで健康をアピールしました。
こんなブラックジョークはなかなか言えるものではなく、特に病気療養をしていた芸能人では難しいところ。しかし、自分の死亡説をギャグにして復帰をアピールし、その後も大活躍できてしまうのが中居さんのMCとしての力なのだと考えます。
今回も、『まつもtoなかい』でのピンチをくぐり抜け、見事な切り返しで番組の危機を救いました。病気療養を経験し、現在も『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ系)、『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)など長寿番組のMCや、『中居正広の土曜日な会』(テレビ朝日系)、『だれかtoなかい』を担当。さらに、2023年末にはTBSの大みそか番組『WBC2023 ザ・ファイナル』でMCを勤め上げました。
松本さん不在という中で、改めてMCとしての底力を見せつけた中居さん。もしかしたら、松本さんが抜けた穴のいくつかは、中居さんがしっかりと埋めてくれるのかもしれません。
この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。