サマリーとは? ビジネスでの作成ポイント、レジュメやアジェンダとの違いを簡単に解説

「サマリー」は、日常生活ではあまり使わない言葉でありながら、ビジネスシーンではたびたび聞かれる言葉です。サマリーの一般的な意味や原義、使われる業界ごとの意味・ニュアンス、似た言葉との違いなどについてフリーアナウンサーの酒井千佳が解説します。

サマリーの意味とは? ビジネスでの書き方のポイント、レジュメやアジェンダとの違いを簡単に解説
サマリーの意味とは? ビジネスでの書き方のポイント、レジュメやアジェンダとの違いを簡単に解説
「サマリー」は、日常生活ではあまり使わない言葉でありながら、ビジネスシーンではたびたび聞かれる言葉です。そこで今回は、サマリーの一般的な意味や原義、使われる業界ごとの意味・ニュアンス、似た言葉との違いなどについて現役フリーアナウンサーの酒井千佳が解説していきます。サマリーの書き方やポイント、関連用語も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

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<目次>
サマリーの意味とは?
サマリーとレジュメ・アジェンダ・アブストラクトの違い
業界によって異なるサマリーの意味
ビジネスシーンにおけるサマリーの使い方と例文
ビジネスシーンにおけるサマリーの書き方とポイント
サマリーの関連用語
まとめ
 

サマリーの意味とは?

サマリーとは、「内容や要点を簡潔にまとめたもの」を意味します。いわば「概要」や「要約」のことを指します。英語の「summary」は「sum(概略)」と「ary(の)」からなる語です。同じく「概要」「要約」と訳され、形容詞であれば「略式の」「即決の」「概略的な」「簡単な」などと訳されます。

サマリーとレジュメ・アジェンダ・アブストラクトの違い

「サマリー」とよく似た言葉に、「レジュメ」「アジェンダ」「アブストラクト」の3つがあります。

それぞれの意味と「サマリー」との違いについて見ていきましょう。

・レジュメ
「レジュメ」はフランス語の「resume(要約)」が語源であり、英語の「summary」とほぼ同義です。日本においては「論文の内容などを簡潔にまとめたもの」とたびたび説明されます。一般的には「研究分野における講義・ゼミナールや、ビジネスシーンにおける会議・プレゼンテーションにて、発表者がその内容を簡潔に記して参加者に配布するもの」を指します。

一方、ビジネスシーンにおける「サマリー」には「報告」のニュアンスがあるため、こちらは「会議終了後に配布される資料(議事録など)」として使われます。

・アジェンダ
「アジェンダ」は、ラテン語の「agendus(行動されるべき)」が由来であり、英語では「政策」「予定・行動指針」「課題」「協議事項・議題・議事日程表」を意味します。日本のビジネスシーンでは「行動計画」や「議題・議事日程」として使われることが一般的です。「報告書」である「サマリー」に対し、「アジェンダ」は「会議進行表」として機能します。

・アブストラクト
「アブストラクト」は「ab(離れて)+tract(引き出す)」が原義であり、英語では「抽象的な」「要旨」「要約する」などの意味があります。日本では「抽象的な」という意味のほか、ビジネスシーンでは「文献などの要約や抜粋、とくに『報告書冒頭に記する報告書全体の要約』」という意味で使われます。

業界によって異なるサマリーの意味

・医療・介護業界
医療・介護業界における「サマリー」は、「診療記録」を指します。これには、患者の検査履歴や病歴、治療歴、看護歴などが含まれ、診断結果のみを記したカルテとは異なります。

・IT業界
IT業界における「サマリー」は、「文章の要約」として使われるほか、「分析結果」や「合計」を指します。具体的には、ツールで収集したデータを整理した文書やグラフ、プログラミング言語やエクセル上で計算された和などが挙げられます。

・金融業界
金融業界における「サマリー」は、「各市場の展望を整理した金融商品」や「事業計画書に記載する概要の要約部分」などを指します。前者は「マーケットサマリー」、後者は「エグゼクティブサマリー」と呼ばれ、区別されます。

ビジネスシーンにおけるサマリーの使い方と例文

ビジネスシーンでの「サマリー」は、会議やプレゼンテーションなどの概要を報告する際、その文書自体やその要約文書を指す言葉として使われます。

【例文】「昨日の会議のサマリーをメールで共有しておいてくれ」

ビジネスシーンにおけるサマリーの書き方とポイント

・1ページに内容をまとめる
サマリーはあくまで要約です。つまり、サマリーに求められるのは「視認性」。内容は1ページにまとめ、分かりやすさと簡潔さを意識しましょう。

・表やグラフを活用して分かりやすくする
小説は時間芸術、絵は空間芸術の一種であることからも分かるように、文章は摂取するのに時間を要し、絵や写真は(そして表やグラフなども)摂取に時間を要しません。簡単かつ短い文章でまとめられたサマリーも分かりやすいですが、表やグラフを活用することで、より分かりやすくなります。

・シンプルを心掛ける
国語辞典『大辞林』(三省堂)において、「シンプル」は「単純なさま。簡単なさま」と説明されています。つまり、シンプルなレイアウトや文章を心掛けるだけで、サマリー自体の難読性も多少下がるわけです。

・箇条書きが基本
分かりやすさが肝であるサマリーでは、箇条書きが基本です。少ない文字数ゆえに視認性が高く、要点も示しやすくなります。書き手にとってもまとめやすいため、サマリーの執筆に時間がかからない点もメリットです。

・社内の過去のフォーマットを活用する
見落としがちですが、社内で過去に使われたサマリーのフォーマットを活用することもポイントの1つです。たとえ見やすいサマリーでも、毎回違うフォーマットでは、どこにどういった情報があるか認識するのに多少の時間がかかります。読み手のストレスにもなりうるため、フォーマットは崩さないように作成しましょう。

サマリーの関連用語

・エグゼクティブサマリー
「エグゼクティブサマリー」とは、「事業計画書の冒頭に記する計画概要の要約部分」を指します。基本的には、先述したように金融業界で使われます。「事業計画概要」と称されることもあります。

・サマリーメール
「サマリーメール」は、重要な情報や出来事を簡潔にまとめて送るメールのことです。「特定のフォルダに隔離された迷惑メール」を指すこともあります。「メールが届かないと思ったらサマリーメールになっていた」のように使われます。

・サマリーデータ
「サマリーデータ」とは、「データベースに一定の決まりで集計・整理されたデータ」を指します。例えば、売上情報や取引情報などにおける月別集計データや担当者別集計データなどが挙げられます。

・サマリーレポート
「サマリーレポート」とは、「統計やデータなどの合計報告書」を指します。金融やIT、学問など、専門的な分野でたびたび使われます。

まとめ

日本語での「サマリー」は、「内容や要点を簡潔にまとめたもの(=概要・要約)」を意味します。ビジネスシーンでは「報告書(あるいは報告書の要約文書)」として使われることが多く、金融やIT、医療などの分野では、さらに特有の意味合いが含まれます。サマリーを作成する際は、見やすさ・分かりやすさを重要視し、効率的な業務を目指しましょう。

■執筆者プロフィール
酒井千佳
酒井 千佳(さかい ちか)
フリーキャスター、気象予報士、保育士。京都大学 工学部建築学科卒業。北陸放送アナウンサー、テレビ大阪アナウンサーを経て2012年よりフリーキャスターに。NHK「おはよう日本」、フジテレビ「Live news it」、読売テレビ「ミヤネ屋」などで気象キャスターを務めた。現在は株式会社トウキト代表として陶芸の普及に努めているほか、2歳からの空の教室「そらり」を主宰、子どもの防災教育にも携わっている。
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