ビジネスの現場において、費用対効果(ひようたいこうか)の概念は非常に重要です。何に費用をかけて、どのように収益を出していくのか考えることは、事業継続に欠かせないプロセスです。
ここでは費用対効果の意味や例文、具体的な計算式を解説します。
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<目次>
・費用対効果の意味とは
・費用対効果の重要性
・費用対効果とコストパフォーマンス(コスパ)の違い
・費用対効果の使い方と例文
・費用対効果を示す指標
・費用対効果の計算方法
・費用対効果を改善する方法・打ち手は?
・まとめ
費用対効果の意味とは
「出した費用(お金)に対して、効果(リターン)がどの程度あったか」という判断をする際に用いる言葉が「費用対効果」です。例えば1万円のコストをかけてチラシを配布し、その結果として100万円の売り上げが上がったとします。このように少ないコストで大きな効果が得られた場合「費用対効果が高い」と言えます。ただし、効果を測定する基準の数値は業種によって異なるため、「〇〇円以上なら費用対効果が高い/低い」とは一概に決められません。また、効果はお金だけにとどまらず「良い人材が確保できた」「顧客の反応が良かった」といったさまざまな指標にも置き換えられます。費用対効果は「高い」または「低い」のいずれかの文脈で使用されることが一般的です。ただし、場合によっては費用対効果が「良い/悪い」「大きい/小さい」と表現をされるケースもあるでしょう。いずれも誤りではなく、ケースバイケースで最適な言い回しを選べば問題ありません。費用対効果の具体的な使い方や例文は後半で紹介します。
費用対効果の重要性
ビジネスにおいては費用対効果について、こまめに見直しをしておくことが大切です。何かの施策を行った際に、それに対してかかったコストは細かく算出しておきましょう。仮に売り上げがアップしたとしても、その施策に対して注いだ経費が高い場合、費用対効果は低くなってしまうためです。費用対効果の重要性について、以下4つのポイントを把握しておきましょう。
・経営の方針を考えるきっかけになる
どのような施策の費用対効果が良かったかを把握することで、自社に合う事業の進め方が見えてきます。企業においては常に複数の施策を試していることが多くあるでしょう。そのなかで、どのようなアプローチが効果的であるのか把握しておくことが大切です。費用対効果を具体的に数値化しておくと、経営方針を見直す際に役立ちます。・具体的なパフォーマンスを考えられる
施策ごとの費用対効果を洗い出しておくことで、次に行うべきパフォーマンスを決めやすくなります。例えば、同じ商品であってもオフライン(対面での営業)とオンライン(インターネット上での商談)では、かかるコストが異なります。それぞれにかかった費用や成約率、従業員の稼働時間など、全てを数値化してみることがおすすめです。これによって、自社の商品はどのような経路だと費用対効果が高くできるのか、最適解が見いだせます。費用対効果が高ければ必然的に利益分が増え、会社全体の売り上げアップが見込めるようになるでしょう。・規模の異なる施策と比較できる
費用と効果のバランスを理解していると、どのような規模の施策であっても、同じように数値化できます。大規模なプロジェクトになると、個々の施策についての費用対効果の測定があいまいになりがちです。しかし、費用対効果の概念を落とし込めていれば、無駄な施策を打つことが少なくなります。規模の大きな施策こそ、細分化して数値チェックをこまめに行うことがおすすめです。・事業や施策の改善について考えられる
事業を行ううえで「PDCA」を回すことは欠かせません。※PDCAとは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)の略で、業務改善に必要なプロセスのこと。
費用対効果の数値を測定しておけば、評価や改善の際に役立つデータになります。
費用対効果とコストパフォーマンス(コスパ)の違い
費用対効果とコストパフォーマンスは非常に似ている言葉です。コストパフォーマンスを日本語にした場合、費用対効果と表すこともあります。それぞれの違いは以下のとおりです。・費用対効果
主に企業が使用する言葉で、かけた投資に対してのリターンを意味します。【例文】「SNS運用をはじめたことで、会社の認知度が上がりホームページへのアクセスが増えた。チラシの配布に比べてSNS運用のほうが費用対効果が高い」
「SNS運用=投資」で「ホームページへのアクセス=リターン」を表しています。この文脈の場合は、コストパフォーマンスという言葉は通常使用しません。
・コストパフォーマンス
主に一般ユーザーが使用する言葉で、具体的な料金に対して実際に得られた効果を表します。【例文】「この化粧クリームは100グラムで1000円ですが、300グラムだと2500円。300グラムのほうがコスパが良い」
この例文のように「お得」といったニュアンスのときには、コストパフォーマンスを使うほうが最適です。シーンによっては同じような意味合いで使用されることもありますが、それぞれのニュアンスが若干異なることを理解しておきましょう。
費用対効果の使い方と例文
費用対効果という言葉をどのようなシーンで使うのかについて解説し、例文をいくつか紹介します。・クライアントとの会話で使用する場合
【例文】「御社にとって費用対効果の高い施策をご提案します」・社内会議で使用する場合
【例文】「昨年度の施策の費用対効果に基づくと、今季の広告にかけるコストは〇〇円が妥当です」・顧客に説明する場合
【例文】「部分的な工事よりも、まとめてリフォームしたほうが費用対効果は高いかもしれません」費用対効果を示す指標
費用対効果を数値で表す際の指標を解説します。・ROI(Return On Investment)
「ROI」は「アール・オー・アイ」または「ロイ」と呼びます。「Return On Investment」の頭文字を取ったもので、ひとことで表すと「投資利益率」です。例えば、広告を作成した際、その成果物によってどの程度の利益が発生したかを計測するものです。・ROAS(Return On Advertising Spend)
「ROAS」は「ロアス」と読みます。ロアスの意味は「広告費用対効果」で、特定の広告によって上がった売上率を計測する数値です。ROIとROASは似ているため混同しやすいですが、以下のように分けられます。ROI:広告が生み出した利益を表す
ROAS:払った広告コストに対しての売上率を表す
・CPA(Cost Per Acquisition)
「CPA」の読み方は「シー・ピー・エー」で、意味は「顧客獲得単価」です。顧客獲得とは、見込み客が問い合わせや資料請求、商品購入など何らかのアクションを起こしてくれた状態を指します。ROIやROASとの違いは、計測ポイントが「コンバージョン」である点です。コンバージョンとは、目標に設定している行動(購入やメール送信など)を、ユーザーが完了してくれることです。該当のWebページを見て何人の人が行動してくれるかによって、コンバージョン数が変わります。費用対効果の計算方法
費用対効果の計算方法を簡単に紹介します。・ROIの計算方法
ROI=(収益 - 経費)÷ 投資額 × 100結果はパーセンテージで表されます。数値が高ければ、費用対効果が大きいと言えます。
・ROASの計算方法
ROAS=広告から発生した売上÷広告にかけた費用×100ROASの結果もパーセンテージで表します。この数式では、あくまで「いくらの広告で、いくらの売上を出した」という結果しか算出できません。販売しているサービスや商品の原価率などによって、純利益との差異が発生することを把握しておきましょう。
・CPAの計算方法
CPA=広告にかけた費用÷コンバージョン数ROIやROASに比べてCPAの計算はシンプルです。この数式に当てはめるだけで、すぐに1顧客あたりの単価を算出できます。
一例として、具体的な数値で計算を行ってみましょう。
【モデル事例】
・50万円の広告をかけて新発売のコスメ宣伝を行う
・コンバージョンは商品の購入
・広告運用の結果50人の人が商品を購入してくれた
計算式:500,000÷50=10,000
つまり、1件の購入に対して1万円の予算がかかったという計算になります。これは広告運用に関する費用対効果の数値となるため、事業の収益にどのような影響を与えているかはケースバイケースです。