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FIFTY FIFTYの大ブレイクに始まり、騒動に終わる2023年
K-POPゆりこ(以下、ゆりこ):そんな中、2023年にすい星のごとく現れた「FIFTY FIFTY」の件は触れておかないと今年を締めくくれないなと思っているんです。
矢野:FIFTY FIFTYといえば、今年2月に発売した1stシングル『Cupid』でいきなりアメリカ・ビルボードのメインシングルチャート「Hot 100」に13週連続でランクインした新人K-POPグループですよね。 ゆりこ:SMエンタやHYBEなど、いわゆる韓国の大手芸能事務所ではなく中小事務所からデビューしブレイクした彼女たちは、“中小事務所の奇跡”“ガールズ版BTSとなるか”と期待と注目が集まっていました。しかしそんな中、6月にメンバー全員が所属事務所に対して専属契約効力停止を求め、事態は急転。メンバーと事務所側、『Cupid』プロデューサーも巻き込み法廷での争いに発展しました。結果的にメンバーのうち3人(アラン、セナ、シオ)が専属契約の解除となり脱退、事実上の解散へ……。
矢野:先日も所属事務所が元メンバー3人やスタッフに対して130億ウォン(※約14億3000万)の損害賠償請求訴訟を進めているとの報道がありましたね。
ゆりこ:当事者しか分からない事情があるでしょうし、今後も動きをウォッチしていきたいところですが、企業が才能ある若者を潰すようなことはしてほしくないです。事務所側にはアーティストや外部スタッフとしっかりチームを組成して上手くマネジメントする責任があったのですから。個人的な感想ですが、事務所と残るメンバーの未来を考えても、約14億円の損害賠償請求は悪手だと思います。
矢野:アイドル活動、つまり仕事をするうえで年齢は関係ないのかもしれませんが、20歳前後の若い人が対峙(たいじ)するにはあまりにも大きすぎる金額と問題だと思ってしまいます。そして、事務所とアイドルの契約問題にはやはりまだ根深い課題があることを実感しました……。