「完まく」ってどういう意味?
「知らない」と回答した人にどんな意味だと思うか聞いてみたところ、「スープ表面に油の膜がはっている状態」(40代男性/神奈川県)、「麺を切る前に一塊にすること」(40代女性/山口県)といった回答が集まりました。この中に正解の意味はあるのでしょうか?
「完まく」とはラーメンのスープまで飲み干すこと
完まくとは「ラーメンのスープまで飲み干すこと」です。インターネットが普及し始めた頃、麺と具はもちろん、スープまで全部飲み干し、丼を空(から)にすることを「完食」と呼び始め、「おいしい」の別な表現として使われるようになりました。
同じような時期にテレビの大食い番組でも、食べ物を全部食べきることを「完食」と呼んでいました。しかし、ラーメンに関してはスープまで飲み干すことを危険として、スープは飲まなくても、麺と具だけを食べきれば「完食」と呼ぶようになったのです。その影響で、スープを飲み干すことを新たに「完飲」と呼ぶようになっていきました。
スープだけを飲み干して麺を残す、という食べ方はほとんどないので完飲=完食ではありますが、その後も「完食完飲」という表現が出てきたり、スープまで飲み干すことを「汁完」と呼ぶ人が出てくるなど、さまざまな呼び方が出てきました。
町田商店と「完まく」の登場
そんな中、ギフトホールディングスがチェーン展開する「町田商店」グループでは、スープまで飲み干すことを「完全まくり」の略で「完まく」と呼ぶようになりました。「まくる」は競馬用語で中団・後方にいた馬が最後の直線コースで一気に抜き返すこと。それが転じてスープまで飲み干すことを「完まく」と呼ぶようになりました。「完まく」するとカードにスタンプを一個押してもらえ、集めるとラーメン一杯が無料になるサービスなどがあり、ファンの間で広まりました。また、飲み干すとスタッフから「完まくありがとうございま〜す」などとコールされることもあります。元々はグループ内での言葉でしたが、店舗数が増えるとともに使う人も増加。別のお店で使う人も登場し、今では「完まく」という言葉が一人歩きしています。
この記事の筆者:大崎 裕史
株式会社ラーメンデータバンク取締役会長。28,500杯(2023年11月末現在)を食破した自称「日本一ラーメンを食べた男」として、メディアで幅広く活動中。
株式会社ラーメンデータバンク取締役会長。28,500杯(2023年11月末現在)を食破した自称「日本一ラーメンを食べた男」として、メディアで幅広く活動中。