「家系ラーメン」って何? 「家庭で作るラーメン」じゃないんです! 【ラーメン評論家が解説】

「意外と知らないラーメン用語」の意味を、ラーメンデータバンクの取締役会長であり、自称「日本一ラーメンを食べた男」として多くのメディアに出演している大崎裕史が解説します。今回取り上げる用語は「家系」です。

国民食といっても過言ではないほど、日本中で愛される料理・ラーメン。日常的に食べている人も多いのではないでしょうか。
家系とは
ラーメン用語「家系」って何?
しかし一方で、ラーメンにまつわる用語の意味まで正しく理解できている人はそれほど多くないかもしれません。そんな「意外と知らないラーメン用語」の意味を、ラーメンデータバンクの取締役会長であり、自称「日本一ラーメンを食べた男」として多くのメディアに出演している大崎裕史が解説します。

今回取り上げるラーメン用語は「家系」です。

「家系」ってどういう意味?

家系アンケート
「家系」という言葉を知っているか
All About ニュース編集部は、全国の10〜70代の男女500人に「家系」という言葉を知っているか調査を実施。その結果、「知っている」と回答した人が91%、「知らない」と回答した人が9%という結果となりました。ほとんどの人がこの言葉を知っているようです。

「知らない」と回答した人にどんな意味だと思うか聞いてみたところ、「家庭で作るような雰囲気のラーメン」(30代女性/北海道)、「シンプルなラーメン。二郎系の対義語」(30代女性/大阪府)といった回答が集まりました。この中に正解の意味はあるのでしょうか?

家系とは「横浜の人気店・吉村家を源流とするラーメンのこと」

家系とは横浜の人気店「吉村家」を源流とするラーメンのことです。

吉村家が系列店舗に「○○家」という名前を付けたり、「吉村家」で修業した人が独立した際に「○○家」という店名を付けるケースが増え、それらを「家系」と呼ぶようになりました。

そもそも「家系」という言葉は、インターネット黎明期に登場した「ラーメンメーリングリスト」というコミュニティの中のメンバーが創り出したもの。最初の頃は「家系」とだけ呼ばれていましたが、最近では「横浜家系」と“横浜”を入れるケースが増えています。

「家系」の特徴は、まず第一にスープが「豚骨醤油」であること。「壱六家」およびその流れをくむ店の多くは豚骨のみの場合が多いですが、元祖である「吉村家」とその流れをくむ店では鶏ガラも使っています。また、「吉村家」とその流れをくむ店では、「酒井製麺」という製麺所のやや太めの短い平打ち麺を使うことが多く、その麺を使っていることこそが「家系」の本流という見方をされる時代もありました。しかし、最近では同じような麺を作る製麺所が増えたため、多くの製麺所のさまざまな麺が使われています。
 
家系のほかの特徴として、具にほうれん草と大きなのりが入ることがあげられ、基本的にはメンマが入らない場合が多いです。また、注文時にお客さんの要望を聞くことも家系の特徴。聞く項目は、麺の硬さ(硬め・普通・柔らかめ)、味の濃さ(濃い口・普通・薄口)、油の量(多め・普通・少なめ)などです。ライスがとても合うラーメンなのでライスを無料で提供している店も少なくありません。

家系ラーメンの「御三家」って?

家系のお店には「六角家」「本牧家」「介一家」「寿々㐂家」などがあります。特に「吉村家」「六角家」「本牧家」の3軒は「家系御三家」と呼ばれ、それぞれ人気になり、修業者や独立者が増え、「家系」店舗が増えていきました。

一方、磯子にある「壱六家」も人気になり、そこからの修業者や独立者も増えていきました。「吉村家」と「壱六家」はまったく無関係なのですが、同じ横浜市の「家」が付く店舗だったため「家系」で括られています。
     
この記事の筆者:大崎 裕史
株式会社ラーメンデータバンク取締役会長。28,500杯(2023年11月末現在)を食破した自称「日本一ラーメンを食べた男」として、メディアで幅広く活動中。
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