「インスパイア系」ラーメンって何にインスパイアされてるの? 【ラーメン評論家・大崎裕史が解説】

「意外と知らないラーメン用語」の意味を、ラーメンデータバンクの取締役会長であり、自称「日本一ラーメンを食べた男」として多くのメディアに出演している大崎裕史が解説します。今回取り上げる用語は「インスパイア系」です。

国民食といっても過言ではないほど、日本中で愛される料理・ラーメン。日常的に食べている人も多いのではないでしょうか。
インスパイア系とは
「インスパイア系」って何?
しかし一方で、ラーメンにまつわる用語の意味まで正しく理解できている人はそれほど多くないかもしれません。そんな「意外と知らないラーメン用語」の意味を、ラーメンデータバンクの取締役会長であり、自称「日本一ラーメンを食べた男」として多くのメディアに出演している大崎裕史が解説します。

今回取り上げるラーメン用語は「インスパイア系」です。

「インスパイア系」ってどういう意味?

インスパイア系アンケート
「インスパイア系」という言葉を知っているか
All About ニュース編集部は、全国の10~70代の男女500人に「インスパイア系」という言葉を知っているか調査を実施。その結果、「知っている」と回答した人が52%、「知らない」と回答した人が48%という結果となりました。およそ半分の人がこの言葉を知っているようです。

「知らない」と回答した人にどんな意味だと思うか聞いてみたところ、「イメージではスープを辛口にって感じだと思いますが…」(50代男性/長崎県)、「何かにインスパイアされてできた商品」(30代女性/福岡県)といった回答が集まりました。この中に正解の意味はあるのでしょうか?

インスパイア系は「二郎に似せたラーメンを提供するお店」

インスパイア系とは、「ラーメン二郎」に似せた、こってりスープ、ボリューム多め、野菜多め、デカいチャーシューのラーメンを提供するお店のことです。

「ラーメン二郎」で修業したものの修業期間が短すぎたり、「ラーメン二郎」という名前で独立できなかったお店が増え、最初のうちはそれらのことを「二郎インスパイア系」と呼んでいましたが、次第に修業もしていないのに似たようなラーメンを出すお店が増え始めました。結局、「ラーメン二郎」をまねして提供するお店のことを総じて「二郎インスパイア系」と呼ぶようになり、「インスパイア系」という言葉が一気に拡がっていきました。

元々は「青葉インスパイア系」だった?

実は、インスパイア系とはもともと「二郎」とは違うお店のことを指していました。

1996年にオープンした「中華そば青葉」は、動物系スープと魚介系スープをブレンドして完成させる『Wスープ』を浸透させた店として知られています。ほかにも、『特製』という少しずつ具を増やすお得感のあるメニューを開発したり、スープを濃いめにしてつけ汁とし、麺を水で〆、『つけ麺』として提供し浸透させるなど、後のラーメン界に多大な影響をもたらしました。

この「中華そば青葉」をまねして、動物系スープと魚介系スープをブレンドして提供するラーメン店が増え始め、それらのことを「青葉インスパイア系」と呼ぶようになったのです。しかし、「二郎インスパイア系」という意味の「インスパイア系」という言葉が浸透していくにつれ、「青葉インスパイア系」という言葉が使われることは減っていきました。

ラーメン用語の「インスパイア」は英語の「inspire」と違う?

「インスパイア系」は英語の「inspire」=触発という意味合いから、最初は「影響を受けた」という意味で使われていましたが、後に「参考にした」「まねをした」というような意味合いが含まれるようになりました。

「inspire」という英語の意味合いとは違う使われ方もされるようになりながら、「インスパイア系」という単語が一人歩きするようになったということです。今では、ラーメン用語の「インスパイア系」は後者の意味合いで使われています。
 
この記事の筆者:大崎 裕史
株式会社ラーメンデータバンク取締役会長。28,500杯(2023年11月末現在)を食破した自称「日本一ラーメンを食べた男」として、メディアで幅広く活動中。
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