他の人の働き方を参考にしながら自分の選択肢をつくる
この場にご参加された方々とはその後もつながり続けています。それぞれの生き方、働き方からも「子育てしながら働く」は多様であることを実感しています。-今いる会社で初めて産育休取得をして子育てしながら働き続ける女性
-妊娠・出産後に故郷へUターンし、子育てしながら地元で起業した女性
-子どもの成長過程に沿って、働く場所に求めるものを変えて、働き続ける女性
-子どもやパートナーの状況を見て、フリーランスとして働き始めた女性 会社の規模、業務状況、両立ができる仕事かどうか、働きやすさ、会社内の人間関係によっても取れる選択肢は異なります。パートナーや親、地域との関係性、生まれた子どもの心身の状況、人数、成長過程などによっても変わります。そしてそもそもご自身がどうしたいかという意思も関係します。
皆、全く異なる状況下にありますが、それでも自分で決めて前に進んでいっています。「子育てしながら働く」は多様であり、さまざまな選択ができると知った人たちは、他の人の働き方を参考にしながら、自ら次の選択肢をつくって体現していきます。
その選択肢は、人から人へつながっているのだと感じています。
「子育てしながら働く」の難しさとそれでも前進する強さ
「子育てしながら働く」においては正解も答えも用意されていません。「親がそうだったから」「周りの多くがそうだから」ということを自分の働き方に当てはめることが最適かどうかは分かりません。先にも述べたように「子育てしながら働く」に関係する要因は1つではなく、複数の事柄が絡み合います。
現在は「子育てしながら働く」にまつわる厳しいニュースを多く聞くことがあるかもしれません。
そんな中で、自ら決定して動いていくこと、子どもやパートナー、周りや会社組織と話し合っていくこと、絶えず相談・調整をしていくことは、とてもパワーがいることかもしれません。その前進にもおいて苦しさが伴うこともあるでしょう。
だからこそ「子育てしながら働く」ことにおいてどんな多様さがあるのかを知り、触れることは、何か意思決定をするときの支えとなってくれます。
-そもそも私自身が子育てしながら働くことはできるのだろうか
-子どもが生まれて生活が大きく変わる中でどのように働くことができるだろうか
-今の状態にモヤモヤしている。どうしたら「子育てしながら働く」ことができるのか
弊団体の場を通じて出会う人の中にも、迷い悩み立ち止まっている人をお見かけすることはあります。
しかし、その難しさ・苦しさの中でも、自らで編み出した選択をし、働いている先人の生き方に触れ、改めて自分自身の一歩を踏み出していっています。その軌跡を見ることは、「子育てしながら働く」における大きな希望だと思います。
「子育てをするなら仕事を辞める」「仕事を続けるならば子育てを諦める」。そのような二者択一しかなかった状況から多様になってきた今、より多くの人が働き方の選択肢を広げ、その人らしい“子育てと働く”を実現できることを願っています。
この記事の執筆者:海野 千尋
特定非営利活動法人ArrowArrow代表。2013年に団体へジョインし、子育てしながら働く社員と組織の選択肢を創る活動に従事。働き方における企業伴走支援や企業・自治体キャリアデザイン研修講師を担い、自治体協働事業や企業社会貢献事業を通して、新しい働き方のプラットフォームづくりをおこなう。