「子育てしながら働く」は“難しい”と感じてしまう人へ。自分らしい働き方を見つけるためのヒント

「子育てしながら働く」その景色は刻々と変わってきており、個人・組織共に、現在模索の最中にあります。「子育てしながら働く」にはどんな選択肢があるか、その多様さを知ることで、自分らしい働き方を見つけるためのヒントが得られるかもしれません。

「子育てや介護などの理由に左右されない選択肢あふれる社会を創りたい」。私はこのようなビジョンを掲げるNPO法人ArrowArrow(アローアロー)で、中小企業を含めた組織で働く人の産育休取得に向けたサポートを中心に、子育てしながら働くことを望む人と組織の選択肢を拡げる活動を10年以上おこなってきました。

――子育てしながら働くこと。


このことに不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。私にできるだろうか……そう立ち止まってしまうとき、どのようなことを知っていると希望が持てるかを、皆さんにお伝えしたいと思います。

自分らしい働き方を見つけるヒントをご紹介!
自分らしい働き方を見つけるためのヒントをご紹介!

子育てしながら働く―親世代との違い

子育てしながら働く。このサンプルの1番身近な例として皆さんご自身の両親の姿を思い起こす人もいるかもしれません。その当時の子育てしながら働く景色の一端を知れるデータがあります。 
子どもの出生年別第1子出産前後の妻の就業経歴
内閣府男女共同参画白書令和5年版より[共働き世帯数と専業主婦世帯数の推移(妻が64歳以下の世帯)]
今から30年ほど前(1990年頃)に、夫婦共に働くという共働き世帯が、男性雇用者と無業の妻という世帯の数を上回ってきている状況が見えてきました。子育てしながらもなんらかの形で両親共に「働く」ということは、時代と共に数としても上昇の変化を見せています。
 
当時からもさまざまな「子育てしながら働く」の姿があったのは確かです。家庭や仕事の状況によって、出産後すぐに働いていた女性もいたでしょう。
 
しかし、数として主流であったのは、結婚・妊娠・出産などのライフイベントが訪れたタイミングで女性は1度仕事や会社を辞め、その後、子どもが育っていく中で再び働き始めるというパターンでした。 
子どもの出生年別第1子出産前後の妻の就業経歴
内閣府男女共同参画白書令和5年版より[子供の出生別第1子出産前後の妻の就業経歴]
その状態は「子供の出生別第1子出産前後の妻の就業経歴」(内閣府男女共同参画白書令和5年版)においても明らかになっていますが、30年程前は半数以上の女性が、妊娠前もしくは第1子出産時に退職していたことが読み取れます。

共働き世帯の数が増えていても「結婚・妊娠・出産によって1度仕事を辞める」ことが多かったということです。その状況は2000年代に入ってもまだ割合としては多数派でした。
 
その割合の変化に起因して、この30年の中で大きく変わったことの1つは、「妊娠中も働き続け、産育休を取得し、現在働いている会社を辞めずに働き続ける(就業継続/育休利用)」人が増えてきたことです。
 
産育休を取得し、仕事と育児を両立することにおいては、女性個人もそして会社・組織も、前例がない、少ない働き方でもあったため、その在り方や状況を各個人・各組織の中で、つくり積み上げていく必要がありました。新しい働き方が生まれたこの30年を通して、個人・組織共に、まだ模索し続けている状態といえるでしょう。

「子育てしながら働く」には、どのような選択肢があるのか

2011年より弊団体においても「自由大学」という社会人同士の学び合いのプラットフォームで、「妊娠・出産・子育て×働く」に関する選択肢を知ることができる場をつくってきました。この場では、「子育てしながら働く」の選択肢は、個々人によって全く異なるということを直接的に伝えたいという思いがありました。
 
―会社で前例がない中、今働いている会社を辞めずに妊娠・出産・子育てしながら働き続ける女性
―妊娠・出産・子育てのタイミングによって働く場所を自ら変えていく女性
―妊娠・出産によって1度働く場から離れ、子どもの成長・状況を見て再び働き始める女性
-出産後、地域の子どもに関わる場所から活動をスタートし、その後起業していく女性

 
「子育てしながら働く」とひと言に言っても、上記のようにさまざまな働き方があります。彼女たちがどんな状況下でそれぞれの選択をしたのかを知る機会をつくってきました。
 
この場所で大切にしていたことは大きく2つありました。
 
1つは、「子育てしながら働く」の状況、背景は人によってさまざまであり、個々人における「働き方は多様である」ことを伝えていくこと。

もう1つは、その多様さを知ってもらう中で、ご自身はどう考えているのか、どうしていきたいのかを、改めて考えてもらう機会とすることです。
 
働く組織や会社の環境、周りとの関係性、生まれた子どもの状況によって「子育てしながら働く」における意思決定の難しさは付きまといます。それでもご自身がどう在りたいのかを1度立ち止まって考える場にしてもらいたいと思い、活動してきました。
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自分らしい働き方は、選択肢を「知る」ことから始まる
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