管理職の打診は受けるべき? 結婚、出産も諦めたくないけど……【専門家が解説】

女性のキャリアに関する悩みや疑問について、『女の転職type』編集長の小林佳代子が回答します。今回のテーマは「管理職を引き受けるかどうか」です。

管理職を打診されています。近いうちに結婚もしたいので迷います。
管理職を打診されています。近いうちに結婚もしたいので迷います
女性のキャリアに関する悩みや疑問に、正社員で長く働きたい女性のための転職サイト『女の転職type』編集長の小林佳代子が回答します。

今回の相談内容は「管理職を引き受けるかどうか」についてです。
 

(質問)
転職して2年。上司から管理職にならないかと打診されています。社内で女性の管理職は少なく、いても独身の人ばかりです。お付き合いしている人と近いうちに結婚し、いずれ子どもも持ちたいと思っています。このような状況で管理職を引き受けてもいいのでしょうか。

 

(回答)
最初から完璧な上司なんていません。管理職になると得られるメリット、(1)仕事の幅が広がり成長できる、(2)仕事をコントロールしやすくなる、(3)ポータブルスキルが身につく、などにもぜひ目を向けてみてください。


どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

女性にありがちな「インポスター症候群」って?

優秀な女性が昇進をちゅうちょしてしまう事例に、私もよく出くわします。男性に管理職を打診すると「ありがとうございます。頑張ります!」というのが多いのに対し、女性は「できるか不安なので、一度考えさせてください」となるケースがほとんど。女性によく見られる“インポスター症候群”ですよね。

インポスター症候群とは、周囲から高く評価されても、自分にそのような能力はない、周りのサポートがあったから、運がよかっただけ、などと自己を過小評価してしまう傾向のことです。

日本社会に根強い、女性は控えめで出しゃばらず、家庭や子育てに関わる役割を期待されてきた背景などから、管理職のような強い役割を打診されると「自信がない」「自分には荷が重い」と考えてしまう女性が多いのではと思います。

でも、考えてみてください。管理職になったその日から完璧な上司になれる人なんていませんよね。社会人になって1日1日スキルや経験を積み上げたように、管理職になってからも「上司」としての経験・知見を1つ1つ深めていけばいいのです。

自分の“一歩”がより働きやすい環境につながるかも

管理職になることで得られる、プラスの側面にもぜひ目を向けてください。

(1)仕事の幅が広がり成長できる
管理職になると関わる人や得られる情報が今までとは変わってきます。一段上がったステージから業務や組織を見られるので、視野が広がり成長の機会も増えるでしょう。

(2)仕事をコントロールしやすくなる
管理職になれば自分がプレイングするというより、部下に仕事を適切に割り振ることも必要です。「考えること」は増えても、「作業量」は減ることも。そのため、仕事のコントロールがしやすくなり、時間にしばられなくなる可能もあります。

(3)ポータブルスキルが身につく
管理職になることでポータブルスキル(転職や異なる業界においても役立つ汎用的なスキル)が身につくこともメリットです。管理職で得られるマネジメント経験やプロジェクトマネジメントスキル、問題解決能力などは、仮にいつか転職することになっても大きな強みとなります。

今後のライフプランや、管理職になる上で不安に思っていることについては、率直に上司に伝えてみてください。自分が一歩踏み出すことで職場に女性管理職が増え、ライフステージが変わっても女性が働きやすい環境が整っていくかもしれません。パートナーとも互いのキャリア、家事や子育て分担について話し合ってみるのもいいでしょう。

転職して2年で管理職を打診されるということは、働きぶりや成果が認められた証拠です。ぜひ自信を持って、管理職にトライしてみることをおすすめします。
 

この記事の筆者:小林 佳代子
新卒でキャリアデザインセンター入社。転職情報誌および転職サイト『type』『女の転職type』で、1000社以上の求人広告制作に携わる。2018年『女の転職type』編集長に就任。プライベートでは2児の子育て中。

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