「男女の間に友情は成立するのか?」をテーマに描かれる作品で、クライマックスに向けて木曜日を心待ちにしている人も多いのではないでしょうか? ドラマは残りわずかとなっている中、改めて『いちばんすきな花』の魅力について、元テレビ局スタッフの筆者が解説してみたいと思います。
『silent』プロデューサーと脚本家が作り出す、新感覚のドラマ
昨年、川口春奈さんとSnow Man・目黒蓮さんが共演した異色のラブストーリーとして一大ブームとなった『silent』。その作品のプロデューサーと脚本家がタッグを再び組むことで、『いちばんすきな花』は放送前からどんなドラマになるのか、多くの視聴者が注目していました。ざっとストーリーを解説すると、登場人物は潮ゆくえ(多部)、春木椿(松下)、深雪夜々(今田)、佐藤紅葉(神尾)で、接点のなかった4人の男女が、偶然出会うところから物語はスタート。4人は意気投合し、椿の家で頻繁に会合をすることになり奇妙な友情が芽生えていきます。
「男女の友情」にトラウマを抱えた4人……“2人組”がキーワード
ドラマは、男女の「友情」と「愛情」をテーマに、主人公たちが過去のトラウマなどを思い返しながら自分語りする会話劇が中心。トラウマに関して、ゆくえは「心を許していた男友達が、結婚をキッカケに妻からの嫉妬で会えなくなる」、椿は「婚約していた恋人を、彼女の男友達に奪われる」、夜々は「美貌のあまり、異性というだけで勝手に恋愛対象にされてしまう」、紅葉は「友達は多くいるのに、いつも都合良く使われ本音を話せる親友がいない」というもの。これらのトラウマは、ドラマの主軸となる「2人組になれなかった」というキーワードをもとに、さまざまなエピソードが公開され深みを増していきます。とはいえ、主人公にはそれぞれ友人もいて、家族との関係もある程度は良好。それなのに、2人組という概念に生きづらさを感じる様子が描かれる不思議な作品です。
ドラマでは一貫して、ポジティブで何も考えず楽しそうにしている「2人組」になれる人への苦手意識を主人公たちが露呈。ただ、この設定にSNSでは賛否両論が起き、「自分の心の中を表現してくれた」「共感できるセリフばかり」という絶賛コメントから、「ハマらない」「理解できない」という反対意見の視聴者も出ている現状です。