「普通」な人にはハマらない? 主人公の悩みに共感できない人も
このドラマにハマるには、「繊細な人たちの本音が理解できるか」がポイントになります。親友、恋愛、結婚など世の中には2人組がキーワードとなることが多く、それが普通とされてきました。『いちばんすきな花』では、その普通ができなかったことへのコンプレックスやトラウマを、これでもかと4人が会話劇で表現していきます。でも、自分の周りを見渡してみても、「普通」に結婚し子どもを生み幸せに暮らしている人も多くいます。また、世間の全員が繊細な心を持ち合わせているわけもなく、人の悪口を言うこともあれば、みんなと同じ意見でいることに安心感を得ることもあります。
そうやって生きてきた視聴者からすると、『いちばんすきな花』の主人公たちの悩みは共感できるはずもなく、SNSでは賛否両論の声が出る結果につながっていると予測されます。
「赤田の妻」にSNSでは否定的な声も……
例を挙げれば、ゆくえの男友達だった赤田鼓太郎(仲野太賀)は、妻である峰子(田辺桃子)に気を使い2人で会うことを辞めようと提案します。その峰子はいわゆる“陽キャ”であり、主人公たちが苦手とする存在。描かれ方は意外に乱暴で、随所でゆくえへの嫉妬の心を持っていることが明かされていきます。結果、SNSではドラマのファンから「赤田の奥さん苦手」というコメントが書き込まれました。ただ、峰子に共感できる女性は意外に多いのではないでしょうか? 「2人で絶対に会うな」とまではいかなくても、旦那が親友とはいえ女性と仲むつまじいことに嫉妬するのは理解できるでしょう。熱心なファンからすれば、そんな女性は許せないと批判の対象になるところを見ると、やはり不思議なドラマだと感じざるを得ません。
こういった演出により、主人公たちが繊細で生きづらさを感じているのは理解できるものの、どこか感情移入できない視聴者を生み出す要因になっているのではないかと感じます。