“天才子役”から“天才俳優”へ。「芦田愛菜」はどう作られた? 【元テレビ局スタッフが解説】

天才子役として一世を風靡(ふうび)し、現在まで抜群の人気と好感度をほこる「芦田愛菜」さん。これまでの出演作を振り返り、どうやって天才俳優は作られたのかに迫ります。(サムネイル画像出典:『さよならマエストロ』公式Webサイトより)

衰えない天才的な演技で作品を“傑作ドラマ”に導く

芦田さんは、『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』で7年ぶりに民放の連続ドラマに出演。主演は松岡茉優さんが務め、2019年に同局で放送され大きな話題を呼んだ『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』のプロデューサーと監督が制作したドラマです。
  芦田さんは、松岡さん演じる高校教師・九条里奈が受け持つ3年D組の生徒、鵜久森叶を担当。ドラマは、里奈が卒業式の日に生徒から突き落とされたことでタイムリープし、犯人と事件の真相にたどり着こうと生徒と真剣に向き合うことでさまざまな試練に立ち向かう、新時代の学園ドラマです。

鵜久森叶はイジメにより「元の世界」では自ら命を絶った生徒として描かれ、里奈がやり直しする世界では、共に戦友として懸命に生き抜こうとする使命を受けることになります。ちなみにネタバレとなりますが、鵜久森叶もまたタイムリープした1人で、自分の人生と真摯(しんし)に向き合い人生を変えようと里奈と戦い抜きます。

このドラマの最大の見どころは、鵜久森叶が里奈と心を通わせる中で、生きることの素晴らしさや、人を愛して信じることの喜びを表現するところです。芦田さんは、登場時は鬱屈(うっくつ)とした表情の鵜久森叶を演じますが、ストーリーが進む中で、どんどん生気や自信に満ちた表情を見せるように。

自身がセリフを話していないときの演技も含め、圧倒的な俳優としての存在感を見せます。落ち着いた聞き取りやすい声も素晴らしく、『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』を傑作ドラマへと導くことに成功。若手俳優として、最も注目を集める1人になりました。

『さよならマエストロ』西島秀俊との共演に期待

さて、そんな勢いのある芦田さんが挑戦する日曜劇場『さよならマエストロ』ですが、西島さんと芦田さんは初共演。西島さん演じる才能あるマエストロ(指揮者)の夏目俊平が主人公で、芦田さんは娘である夏目響を担当。音楽しか取り柄がない不器用な父と、素直になれない娘が描き出す「親子の愛の物語」となります。
  2人が5年ぶりに再会することで物語ははじまり、父と娘の気まずい同居生活を送ることに。響は、市役所に勤務している音楽が嫌いな20歳の女性です。公開されている写真を見る限りでは無愛想なキャラクターで、芦田さんもTBSが公開する公式のコメントで「俊平にキツく当たる役」「父親に対して素直になれない、頑固な娘」と響を表現しています。

西島さんはコメントで、「企画書を読んだ段階から涙が出るほど」と表現する感動的なドラマで、すてきな音楽にあふれる作品だとTBSも説明。これまで比較的、本人のキャラクターに合った優等生な役が多かった芦田さんですが、『さよならマエストロ』では、また違った俳優としての魅力を見せてくれそうです。

ちなみに、前回の日曜劇場作品『南極大陸』に出演した際は、7歳だった芦田さん。今回、伝統のドラマ枠でどんな演技を見せてくれるのか、高視聴率とともに期待されています。

この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。

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