奨学金返済に追われ貯金ゼロ。妻子持ちの30代男性、このままでは「会社や実家を売る」判断も視野に

学生を支援する目的で運用される奨学金制度。学生の大きな助けとなる反面、社会人となった元利用者を苦しめる制度との声も上がっています。この記事では、40代半ばまで続く奨学金返済につらさを感じる30代男性のエピソードを紹介します。

妻子持ちの30代男性
妻子持ちの30代男性のエピソード
学生の学費や生活費を支援する目的で運用される奨学金制度。金銭的な事情で進学をためらう学生の大きな助けとなる反面、社会人となった元利用者を苦しめる制度との声も上がっています。

All About ニュース編集部は、2023年7月26日~9月26日に、奨学金を利用した経験がある人を対象にアンケート調査を実施。奨学金制度を利用したきっかけや返済の不安、現行制度への思いなどを伺いました。

今回は、アンケートで得た回答の中から、40代半ばまで続く奨学金返済につらさを感じ、返還額を賄うために残業時間の増加や資格取得に取り組む30代男性のエピソードを紹介します。

回答者のプロフィール

回答者本人:30代男性
在住:沖縄県中頭郡
家族構成:既婚(子あり)
住居形態:親族など他宅に同居
職業:正社員
年収:400万円
現在の貯金額:0万円

回答者の奨学金の状況

借りた奨学金の種類:貸与奨学金
返済状況:現在も返済中
奨学金で利用した金額(総額):400万円
奨学金の返済残高:180万円
奨学金の月々の返済額:1万5000円
奨学金以外に借入しているもの:キャッシュカード 40万円

「他の兄弟の進学による資金不足」を理由に奨学金を利用

上に2人の兄弟がいる回答者。奨学金を利用した理由について尋ねると、「上の兄弟の進学などで家族の貯金はあまりなく、生活費を親の支援とバイトで稼ぎ大学費払うために奨学金を利用しました」と話しました。

また、「大阪の大学へ進学を希望したので、一人暮らしの生活費と私立の学費をバイト代だけでは困難でした」と、私立大学の学費の高さに言及。

親からの支援は受けていたものの、それでもなお苦しかった学生時代の経済状況について明かしています。

妻と子どもがいるのに貯金ゼロの現状

奨学金返済におけるつらさについて、回答者は「現在奨学金の返済に追われている為、貯金をする余裕が全然ありません。結婚して子供もいるので貯金がないことは不安になります」と、貯金をする余裕がない現状を告白。

加えて、「奨学金の返済の為に、残業時間を多くしたり、猛勉強をして資格取得を行い、給料を増やすよう努力しています」と返済のために自分に負荷をかけている旨を明かしました。

保証人の親が「返済のために会社や実家を売る」判断も

現行の制度については、「奨学金制度は利用時はとても良い制度だと思うが、返済になると20代から40代までの期間辛いです」と肯定的な意見も述べた回答者。

一方で、「毎月の返済を滞ると一括返済になり、それにより保証人なった親が借金返済の為に会社や実家を売る話を聞くのでとても不安になります」と、自分の返済が滞った場合に連帯保証人である親にかかる負担への思いを打ち明けました。

また、「40代半ばまで返済がかかる予定です。現在ちょうど半分くらい返済が終わったのですが、残りの年数を見る度にしんどくなります」と、終わりの見えない返済の苦しみを吐露。奨学金の利用者が生涯にわたってその生活を楽しめるよう、国には制度の改善が求められています。

※回答者のコメントは原文ママです

この記事の筆者:三山 てらこ
横浜生まれ横浜育ち。グルメと深夜ラジオを愛するライター。FP2級。銃弾を防ぐ少年団と、ポケットに入るモンスターも大好き。最近の悩みはアイスの買い置きが一瞬でなくなってしまうこと。X(旧Twitter):てらこ@ライター(@TeraWEB1)
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