なぜ日本のアラサー女性は「占い」に通うのか。悩み相談でカウンセリングより占いを選んでしまう理由

仕事や恋愛の悩み。自分のことを知らない誰かに「話を聞いてほしい」と思った時、占いを選ぶのは日本特有なのだろうか。時には、占いならではの“自分に都合のいい言葉”で励まされたいこともある。実際に占いへ行き、どう感じるかを確かめてみた。

占い
カウンセリングではなく、あえて「占い」を選んでいる……?

いつの時代も女性は占いが好きだ。テレビをつければ「今日の運勢」が流れ、ネットを開くと、星座占いやタロット占いの広告が現れる。特に悩み多きアラサー世代は、占いに救いを求める人も多いようで……?

当たると話題の占いに行ってみた

 「めちゃくちゃ当たる占いがあるらしい」
 
先日、友人から突然誘われた筆者は、都内某所の“当たる”とうわさの占い師のもとを訪れた。友人によればその占い師は、霊視やタロット占いを得意とし、友人の知り合いの結婚をぴたりと当てたのだという。
 
料金は30分3000円程度。普段全く占いなど信じない筆者だが「友人がそこまで言うなら……」と人生ではじめて、占いのお店へと足を踏み入れた。
 
占い店は、飲食店が多い雑居ビルの中にあった。待合室があり、入り口で本日出勤している占い師の一覧がパネルで確認できる。奥にはカーテンで仕切られた小さな部屋が6つほどあった。

ほどなくして「○○先生をご予約の方、5番へどうぞ」と呼ばれ、友人が「じゃあ私先に行ってくるね」とカーテンの奥の部屋へと入っていった。
 
ドキドキしながら筆者は友人が終わるのを待合室で待っていたが、30分もしないうちに友人は神妙な面持ちで現れ、「……当たってる!」とぼそっと言った。
 
詳細を聞く間もなく、次は筆者が呼ばれ、カーテンの奥へと招かれる。
 
カーテンの奥には小さなテーブルがあり、いかにも“占い師っぽい”風貌の、髪の長い女性が座っていた。
 
「今日は何を占いますか?」とテーマを聞かれ、筆者は「じゃ、じゃあ、仕事の今後について」と答えた。すると占い師は目をつぶり、謎の水晶玉に手をかざしながら、呪文のような言葉を唱えはじめた。
 
「う、うさんくさい……!」そう思ったが、数十秒後、なんと占い師は筆者の職業をぴたりと当てたのだ。

職業をぴたりと当てた占い師。その後も……

「あなたは文章を書く仕事をしていますね?」
 
もちろん筆者は自分がライターをしていることなど言っていない。何も言っていないのに、そう言い当てたのだ。
 
筆者が「そうです!」と驚いていると、「あなたは紙よりもネットで書く方が向いている」「中年の男性編集者には気を付けた方がいい。面倒なことに巻き込まれた経験があるでしょう?」と、次々と「うんうん」と深くうなずきたくなるような言葉が続いた。
 
そして最後に「あなたはこの仕事が向いているわ!」と背中を押され、占いは終了した。
 
あまりの的中率に「この占い師はすごい……!」と思った筆者はすぐに何人かの友人に「めちゃくちゃ当たる占い師がいる!」と興奮気味にLINEをした。
 

占い師は、悩めるアラサー世代を救う?

後日、筆者のうわさを聞き付けた友人・A美(27歳)が、占い師のもとを訪れていた。彼女には、友達以上恋人未満の彼がいて、深夜であろうが、彼に呼び出されたら家を飛び出して会いに行くような生活を送っていた。
 
そのため、周囲の友人たちから「そんな男やめなよ」と忠告を受けるのだが、A美は、聞く耳を持たなかった。彼女はその恋人未満の彼との未来を占ってもらうために占い師のもとを訪れたのだ。
 
占い師は、A美にこう告げた。「夏前にあなたは彼と同棲することになるわ」と。A美は舞い上がり、すぐに複数の友人にそのことを報告したが、みんな「そんなわけないじゃん。さっさと次の恋をした方がいいよ」とあしらった。
 
しかし、A美はその後も占い師の元へ数回通った。それから4カ月後の5月。占い師の予言通り、A美は、彼がA美のマンションに転がり込んでくる形で同棲を始めたのだ。
 
たちまちこの話は友人内で話題になり、A美の友人もその占い師のもとを訪れていた。占いを全く信用していないかった友人たちも「1度だけ行ってみようかな」と占いに訪れるようになる。
 
芋づる式にその占い師のもとを訪れる人が増え、その影響もあってか、現在その占い師の予約は1カ月先まで満席になっているという。

占いというより「カウンセリングみたいだった」

さて、この一連の占い師とアラサー女性とのやりとりを見て、どう感じただろうか?
 
「そんな占い師がいるならぜひ会ってみたい」「的中なんてありえない」とさまざまな意見があるだろうが、この話には後日談がある。
 
A美の「同棲を的中させた」という話を聞き、占い師のもとを訪れたB子がいる。
 
B子は占いや心霊などを全く信じない現実主義だ。B子は、占いに行った感想を「カウンセリングみたいだった」と冷静に語った。

ちなみに彼女の職業は、エステサロンのコンシェルジュで、新規顧客を獲得するための初回カウンセリングを担当している。
 
B子は占い師をこう分析する。「最初にある程度情報を聞き出してきて、『今彼がいるんだけど、彼が浮気をしてる気がして……』と悩みを聞き出しながら、『うんうん、それはどんな時に感じるの?』と、相手に寄り添う。その中で、 “的中”させることよりも、相手の“欲しい言葉”をあげて、気持ち良くして帰らせるんじゃない?」と。
 
A美の同棲話に関しても、A美は占い師に「彼の家に入ったことがないんですが、近々彼のマンションの更新期限があるらしくて……」といった話をしていたようだった。B子は占い師が、A美との会話の中から「同棲の可能性」を出してきたのではないか、と語る。


>次のページ:カウンセリングを占いに置き換えている?
 
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