「構いません」は正しい敬語? 意味や使うときの注意点、例文

「構いません」は丁寧語ではありますが、主観的に許容・許可する意味合いがあるため、目上の人には失礼に当たる場合があります。「差し支えありません」「支障ありません」などと表現した方が丁寧です。逆に、「構いません」が使える場面についても例文とともに見ていきましょう。

「構いません」の敬語は?
「構いません」の正しい敬語は?

「構いません」は日常生活の中でも、ビジネスシーンでもよく使われる言葉ですが、使い方に注意が必要です。フリーアナウンサーの小川厚子が解説します。

<目次>
そもそも「構いません」の意味とは
「構いません」の正しい敬語表現
「構いません」を使える場面とは
ビジネスやメールにおける「構いません」の会話例
「構いません」を使うときの注意点
まとめ

そもそも「構いません」の意味とは

「構いません」は「構う」の否定表現「構わない」の丁寧な表現です。「差し支えない」「問題ない」という意味です。了承するときや、許可を与えるときに用いることができます。


・目上の人に「構いません」は失礼?

「構いません」は丁寧語ではありますが、ある物事について主観的に許容したり許可する意味合いがあるため、目上の人には失礼に当たる場合があります。「差し支えありません」「支障ありません」などと表現するといいでしょう。

「構いません」の正しい敬語表現

・「構いません」の敬語(1)差し支えありません

「差し支えありません」は「都合が悪くありません」という意味です。「構いません」のように自分の都合で許可するという意味ではありませんので、目上の方に対しても失礼にはならず使うことができる表現です。「差し支えございません」はさらに丁寧な表現です。


・「構いません」の敬語(2)支障ありません

「差し支えありません」と同様に使えます。「差し支えありません」の方が、優しく丁寧な印象になります。


・「構いません」の敬語(3)問題ありません

ある物事に対して、支障や問題がないときに敬語表現として使えます。「いいですよ」という意味であれば、「差し支えありません」を使った方が優しく丁寧な印象になります。

「構いません」を使える場面とは

(1)相手の謝罪を許すとき
相手からの謝罪やお詫びに対して、そのことを許容するときに使えます。「気にしないでください」というニュアンスが伝わります。

【例文】
「構いませんよ。お気になさらないでください」

 
(2)相手にお伺いを立てるとき

自分の都合による行動に対して相手の許可を得るときに使います。

【例文】
「こちらで電話をしても構いませんか?」
​​​​​ 

ビジネスやメールにおける「構いません」の会話例

(1)メールにおける会話
「構いません」は口語表現であるため、メールや文書などでの使用は避けた方が無難です。目上の方や取引先に「構いません」と伝えたい場合は「問題ございません」「差し支えありません」などと言い換えるようにしましょう。

(2)許可を求める会話例
相手から「〇〇してもよろしいですか?」と聞かれた場合、許可を与えたり、承諾したりする際に「構いません」を用いることができます。

【例文】
A「企画書の提出は、月曜日でよろしいでしょうか?」
B「はい、月曜日で構いません」

​​​​​
(3)謝罪する場面での会話例
相手からの謝罪やお詫びに対して、「構いません」を用いることができます。「気にしないでください」というニュアンスになります。

【例文】
A「先日は、ご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんでした」
B「構いませんよ。どうぞお気になさらないでください」

 ​​​​​​

「構いません」を使うときの注意点

・目上の人や上司・顧客に対しては失礼に当たる
「構いません」は、丁寧語ではありますが、ある物事について主観的に許容したり許可したりする意味合いがあるため、上から目線で偉そうに思われる場合があります。目上の方や取引先の方に対して使うのは失礼に当たりますので控えましょう。「差し支えございません」「問題ありません」という表現に言い換えると良いでしょう。

・「大丈夫です」の敬語表現ではない
「構いません」は「大丈夫です」と同じ意味で使われますが、「大丈夫です」の敬語表現ではありません。ビジネスシーンで「大丈夫です」という表現は軽く聞こえますので控えた方が良いでしょう。

・冷たく聞こえることがある
「構いません」は「気にしない」という意味から「どちらでもいいです」というニュアンスで受け取られ、相手を突き放したように聞こえる場合があります。相手を気遣う言葉を添えると良いでしょう。

【例文】
「お荷物はこちらに置かせていただいてもよろしいでしょうか?」
「構いません。いつもありがとうございます」

・メールに使う場合は相手による

相手が、同僚や部下、後輩など親しい間柄では使うことができます。目上の方や取引先の方には使わない方が良いでしょう。


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まとめ

「構いません」は「相手からの許可を求められたとき」「相手から謝罪を受け入れるとき」「相手に許可を求めるとき」に使える言葉です。相手によっては失礼に当たる場合がありますので、誤解を招かないためにもその場面に適した表現ができるようにしておきましょう。


■執筆者プロフィール
担当ライター
小川厚子(おがわあつこ)
元NHK岡山放送局キャスター/NHK情報番組メインキャスター/NHKニュースセブンリポーター/NHKラジオ第一ニュース/NHKラジオ第一あさいちばんリポーター。退局後は、POLA・阪急不動産インフォマーシャル・グリコラジオCM・ナレーション、テレビドラマアナウンサー役などフリーアナウンサーとして活動中。こどもアナウンス発声協会講師/印象力アップアドバイザー/神戸市立中学校放送部部活動指導員/企業研修等、話し方講師として活動中。
 
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