完璧主義の弊害は語学力にも?
外国語の文法もしかり。
日本人は外国語を正確な文法で話そうとするあまり、発言の絶妙なタイミングを逃してしまうことが多いと言われており、実際に筆者にもその経験が何度もあります。
それに対して周囲の他国籍の人々をよく観察していると、たとえ文法が間違っていようと、正しいタイミングで発言できるかどうかを重視しているのが明白ですし、文法が完璧でなくとも相手に通じてしまっています。そして何よりも、そうした瞬発力と発言力のある人物がどうしてもリスペクトを集めがちなのは刮目(かつもく)すべき点でしょう。
先述の野菜や果物にしても、味や外見の完璧さとの引き換えに農薬使用量(※)と価格を結果的に押し上げているという話もあります。
海外に暮らしていると、日本人が生み出す商品やサービスの完璧さを感じることも少なくありません。同時にその代償があることを知っておくと、外国を訪れたときに「不完全なものに満ちあふれた異文化」をまた違った視点で見ることができるようになるのかもしれません。
※参考:国際連合食糧農業機関「図9:農地面積当たりの農薬使用量、上位国 (2020年)」
この記事の筆者:ライジンガー 真樹
元CAのスイス在住ライター。日本人にとっては不可思議に映る外国人の言動や、海外から見ると実は面白い国ニッポンにフォーカスしたカルチャーショック解説を中心に執筆。All About「オーストリア」ガイド。