お金を自動販売機に投入したら、商品やおつりが出てくるのは当たり前! 日本においては常識かもしれませんが、世界の常識ではありません。ヨーロッパ在住の筆者が海外の自販機事情を国境をまたいで取材してみたら……。
ドイツのとある駅、自動販売機が空っぽ?
ヨーロッパの自販機や精算機をお使いになったことはあるでしょうか?
端的に言うと「原始的で故障寸前」、これに尽きるかも知れません。薄汚れて機能も前世代的、常にトラブルと隣り合わせなものも少なくはない状況です。
ドイツとスイスの国境に並ぶ2台
裕福かつきちょうめんな国民性のスイスは、さすがに清潔で動作良好な機器が多くなっていますが、筆者が以前住んでいたオーストリアや、隣国のドイツ、フランス、イタリアなど他のEU諸国では自販機が正常に機能したらもうけもの。カードや現金投入時は、もはや賭けに近い心境ともいえます。
イメージしづらい人のために、筆者が経験した自販機トラブルをいくつか紹介しましょう。
・商品が出てこない
自販機にお金を投入したのに商品が出ず、返金ボタンもまったく作動しない。自販機を揺すろうがたたこうがまるで反応がなく、陳情できる相手や連絡先も見つからずに泣き寝入り。
・駐車場から出庫できない
駐車場料金の精算時、駐車券が精算機に飲み込まれたまま出て来なくなった上、投入したお金の返金もなし。無人駐車場のため係員もおらず、出庫できずに立ち往生。
……このようなケースは、頻繁とは言えないまでもヨーロッパに暮らしていると定期的に遭遇するため、自販機類の利用に際してはどうしても慎重にならざるを得ません。そういえば先日訪れたイタリアのガソリンスタンドでも、20ユーロ投入したにもかかわらず、ガソリンが一滴も出ずに涙を飲んだばかりです。メンテナンスの行き届いた日本の機器と細やかなサービスのありがたさがまさに身に染みる瞬間でもあります。
筆者がエアラインに勤めていた頃も、ヨーロッパやその他の空港では壊れた座席やエンタメ機器をなかなか修理してもらえないため、日本の空港到着時に日本人整備士についつい頼ってしまうことが多かったものです。