なぜ、こうした大学ランキングが存在するのか
これらのランキングは独自の調査から得られたデータなどを算出して順位を決めているので、ランキングの種類によって順位が前後する。現在、『タイムズ・ハイヤー・エデュケーション』ならオックスフォード大学が1位だが、『USニューズ・アンド・ワールド・リポート』では1位はハーバード大学で、クアクアレリ・シモンズでは、マサチューセッツ工科大学が1位である。
またランキングも、世界の大学ランキングから、学部ごとのランキングなども算出されている。そのため私たちはいろいろな形で大学ランキングを目にすることになる。
そもそも、なぜこうしたランキングが存在しているのか。日本の場合はテストなどの成績を偏差値として算出して、入学難易度で大学のレベルを評価しているが、海外は違う。大学の教員や施設の質、研究施設の質や実績などが評価対象になってランキングがはじき出されている。
そのほかの調査項目は、博士号課程の生徒数や、研究論文に引用された数などもある。そう考えると、日本の偏差値よりも、大学ランキングのほうが、本当の意味で大学の質を評価しているように見える。
こうしたランキングが存在している理由は、需要があるからだ。実は、ランキングの影響力はかなり強く、利用したい人たちが少なくない。上位に来る大学や、メディアである。
ランキング結果が学生の進学に影響も
ランキングは、メディアでも人気コンテンツであり、大々的に報じられる。大学から見ると、ランキングに入ると、これから進学先を決める学生たちが大学の優劣をつける判断材料になる。『タイムズ・ハイヤー・エデュケーション』は、ランキングに掲載されることで得られる恩恵をまとめている。
例えば、ランキングを見ることで大学内での改善点など健全な議論を生む。また、学生や教員などのリクルートにもつながる知名度が向上したり、ほかの教育機関との連携も進むとしている。
実際に、上位に入った大学は、ランキングについて大々的に喧伝(けんでん)する。筆者が留学していた毎年ランキングトップクラスにランクインするマサチューセッツ工科大学も、SNSでランキングの1位になったことをこれまでも嬉々として投稿している。「世界の1位になりました!」と投稿すれば、間違いなくいい宣伝になる。
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