月にあるもので、どの程度の大きさのものなら天体望遠鏡で見つけられる?【天体観察のプロが解説】

月にあるもののうち、どの程度の大きさのものなら家庭用の天体望遠鏡で見ることができるのでしょうか。天体望遠鏡メーカー「Vixen(ビクセン)」の神山美穂が解説します。

家庭用の天体望遠鏡ではどのくらい見える?(Triff/shutterstock)
家庭用の天体望遠鏡ではどのくらい見える?(Triff/shutterstock)

家庭用の天体望遠鏡ではどのようなものが見えるのでしょうか。月にあるものならどの程度の大きさのものまで見ることができるのか、天体望遠鏡メーカー「Vixen(ビクセン)」の神山美穂が回答します。併せて、天体観察の入門用におすすめの天体望遠鏡もご紹介します。

 

(今回の疑問)
月にあるもので、どの程度の大きさのものなら天体望遠鏡で見つけられますか?

 

(回答)
月のクレーターなら、家庭用の天体望遠鏡でも見ることができます。

 

家庭用の天体望遠鏡で“月面基地”を見られる日は来る?

望遠鏡(144倍)で見た「月」 画像提供:Vixen
望遠鏡(144倍)で見た「月」 画像提供:Vixen

地球と月は約38万キロ離れています。従って、大きいもので直径200キロにもなる月のクレーター(隕石などが衝突した跡)なら、家庭用の天体望遠鏡でも見ることができますが、サイズの小さいものは見えません。

将来的に“月面基地”が建設されるかもしれないと言われていますが、そういった建物を見るのはなかなか難しいでしょう。

 

入門用におすすめの天体望遠鏡は「経緯台」タイプ

経緯台タイプの望遠鏡、Vixen「天体望遠鏡 ポルタII A80Mf」(画像提供:Vixen)
経緯台タイプの望遠鏡、Vixen「天体望遠鏡 ポルタII A80Mf」(画像提供:Vixen)

なお、天体望遠鏡には数万円程度のものから50万円を超えるような本格的なものまでありますが、初めて購入するなら軽量で組み立てや操作が簡単な「経緯台(けいいだい)」タイプがおすすめです。このタイプの望遠鏡でも、月に隕石が衝突した跡である「クレーター」を観察することができます。

また、月以外なら土星の環やオリオン座にある「オリオン大星雲」、さらに「二重星」(※1)なども見ることができます。
 

「双眼鏡」で見るのも面白い

また、双眼鏡を使った天体観察もおすすめです。レンズの倍率が低いため、ある部分を拡大して見たい場合はやはり天体望遠鏡を使ったほうがいいですが、双眼鏡で月の模様を見たり、あるいは「すばる」(※2)を見てみるのも面白いと思います。

特に、片目を閉じて天体望遠鏡をのぞくのが苦手なお子さんなどは、まずは双眼鏡を使った天体観察からチャレンジしてみるといいのではないでしょうか。

※1:二重星……非常に接近して見える2つの星のこと。肉眼では1つの星に見えるが、天体望遠鏡で見ると2つの星が並んでいる様子が分かる。代表的なものに、はくちょう座の「アルビレオ」がある。

※2:すばる……おうし座に位置する星の集まり。プレアデス星団ともいう。
 

■参考
天体望遠鏡の基本を学ぼう!(Vixen)

 

>「二重星」「すばる」の画像を見る
 

 

この記事の筆者:神山 美穂
ビクセン 広報担当/星空案内人(星のソムリエ (R) )
さまざまな星空イベントや観望会で、天体望遠鏡や双眼鏡を使った星空案内を行っている。 小学生の息子と季節の星や月を眺めるのが好き。
 
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