「流しそうめん」は宮崎県高千穂町から生まれた
流しそうめんの発祥は昭和30年(1955年)、宮崎県西臼杵郡高千穂町といわれています。当時、この地に駐在していた新聞記者が、外でゆでたそうめんを割った竹に入れ、高千穂峡の冷水にさらして涼を得た体験を記事にしたそう。地元で食堂を営む社長がその記事を読み、竹樋(たけどい)に水を流す現在の流しそうめんスタイルを作り上げたといわれています。その後、名水の地を中心に徐々に全国へと文化が広まっていったのですね。
回転式「そうめん流し」の発祥は鹿児島県指宿市
「流しそうめん」とは異なるスタイルとして「そうめん流し」を作り上げたのが鹿児島県指宿市。水流がぐるりと一周するドーナツ型の容器を開発し、昭和45年(1970年)には「回転式そうめん流し器」の意匠登録も行っています。家庭用のそうめん流し器は、この鹿児島のスタイルを商品化したものなんですね。
水のせせらぎを聴くと、なんともリラックスした気分になります。もともと日本には、水瓶に落ちる水音を聴く「水琴窟(すいきんくつ)」や、元は鹿や猪を追い払うために作られた「ししおどし」など風流な水音を楽しむ文化があります。かき氷やわらび餅など、水を味わう甘味も。暑い夏を少しでも涼やかに楽しく過ごそうとする日本人の知恵が詰まっていますね。
この記事の筆者:田窪 綾 プロフィール
調理師免許を持つフリーライター。総菜店やレストランで8年ほど勤務経験あり。食分野を中心に、Webや雑誌で取材やインタビュー記事作成、レシピ提案などを行う。