山手線の駅から、埼京線、湘南新宿ライン、そして相鉄線乗り入れへ
恵比寿駅は山手線の駅の1つに過ぎなかった。1964年に地下鉄日比谷線の恵比寿駅が開業、都電以外の鉄道路線が乗り入れ、乗換駅となる。
1996年には、山手貨物線を利用して埼京線が新宿から恵比寿まで延伸。JR恵比寿駅は既設の山手線ホームに加え、埼京線用のホームが増設された。2002年に埼京線が大崎まで延伸されるまで、埼京線の電車は恵比寿行きだった(もっとも列車は恵比寿駅で折り返すのではなく、大崎駅まで回送されていた)。
2001年には湘南新宿ラインが運転を開始し、埼玉方面のみならず、横浜方面との直通運転を行うようになり、利便性が向上した。2002年の埼京線大崎駅延伸とともにりんかい線との直通運転が始まり、恵比寿駅からは乗り換えなしでお台場方面へ行けるようになる。
さらに、2019年には相鉄・JR直通線が運転を開始し、相鉄のヨコハマネイビーブルーの電車が恵比寿にも顔を見せるようになった。
駅の発車メロディーは映画『第三の男』のテーマ曲
恵比寿駅の発車メロディーは映画『第三の男』のテーマ曲をアレンジしたものだ。同作品の舞台はウィーン(オーストリア)であり、一見すると恵比寿とは関係なさそうだ。ところが、この曲を利用したテレビコマーシャル(以下、CM)があった。
それは、ヱビスビールのCMであり、なかなかセンスの良いCMだったことから、地元の要望でこのメロディーが駅メロとして採用されたのである。
かつて存在した列車のビアステーション、カートレイン発車基地
ビール工場は千葉に移転し、その跡地は再開発されて恵比寿ガーデンプレイスとなった。その工場閉鎖直前から再開発工事着手までの数年間(1980年代後半)、工場専用線を利用して、EF58形電気機関車に旧型客車3両を連結し、「ビアステーション」という列車ビアホールを開設した。列車は動かないけれど、車窓からは山手線や目の前を行き交う貨物列車などを眺めることができた。結構な人気だった記憶がある。
カートレインの始発駅
マイカーを貨車に積み、運転手と同行者は寝台車で横になって列車旅ができるカーフェリーの列車版カートレインが1985年から10年近く運行されたが、その東京の始発駅は、当初汐留駅だった。それが再開発に伴い、数年間恵比寿駅がターミナルになった。
最盛期には、東小倉行きの「カートレイン九州」、白石(札幌市内)行きの「カートレイン北海道」が運転されていた。当初は人気だったが、貨車のサイズにより積載できる車が限定されたこともあって車の大型化に対応できなくなり、急速に人気が衰えて廃止となった。