「推し」に夢中になるあまり……金銭感覚とモラルがバグる背景とは?
ゆりこ:大きくもうけられたりする派手な(?)すごワザですよね。あれば私も知りたい。大抵のオイシイ話はキケン。言うまでもなく、グレーな手段で推し活資金を作るのもアンデ(ダメ)!
矢野:いわゆる、ダフ屋行為などですか?
ゆりこ:そう。もっと言うとチケット詐欺とか、偽グッズをフリマサイトで売って……というようなグレーを通り越した“漆黒案件”もチラッと目に入ってきちゃいます。当然のごとく一部のアカン人の話であって、善良なファンには無関係ですけれども。しかし、ふと考えてしまうのですよ。それだけ追い詰められて、金銭感覚とモラルがバグっちゃう、その背景を。
矢野:「推し活」と「お金」のバランスって、個々の経済事情だけではなく、ファン同士の視線や比較という「他人軸」が入ってくると崩れがちになるのでは? という仮説を持っていまして。ファン仲間が行くから行く、みんなが買うから買わなきゃとか。
ゆりこ:楽しいことだとつい流されちゃうの、分かります。あと考えさせられるのが「アーティストを思うがあまり」という“背伸び消費”について。K-POPグループも日々脱退、解散のニュースが絶えないですし「魔の7年」という言葉もありますから。
矢野:毎度「これが最後かもしれない」、そんな一種の強迫観念が生じるファンもいらっしゃるのではないでしょうか。
ゆりこ:K-POP界隈(かいわい)にいると何度も目の当たりにするのが、売れなくて(売れなくなって)解散するグループの姿。新曲が出るたびにファンが一生懸命スミン(※)するのも、大量のCDを買うのも、お金と労力によって作られる「数字」でアーティストの活動を支えようとするからなのですよね。
※ストリーミングの意。音楽配信サイトで再生を繰り返し、チャート上昇を図る行為
矢野:気持ちは痛いほど理解できます。推しの運命が自分たちの手にかかっているように思える。必死だからこそ、自分の「限界」や「無理」に気付かないこともあるでしょうね。そこを見極めるポイントって何でしょうか。お金の使い方や推し方を見直すタイミングといいますか。