M世代の韓国エンタメウォッチャー・K-POPゆりこと、K-POPファンのZ世代編集者が韓国のアイドル事情や気になったニュースについてゆるっと本音で語る【K-POPゆりこの沼る韓国エンタメトーク】。韓国エンタメ初心者からベテランまで、これを読めば韓国エンタメに“沼る”こと間違いなし!
#21のテーマは前回に引き続き「K-POPライブのチケット事情」。中でもK-POPファンの間で賛否両論の「ダイナミックプライシング」について、懸念点や今後の予想についてお話しします。さらに後半は推し活の「お財布事情」へ……。
【前回の記事(#20)はこちら】
韓国の大手芸能事務所HYBEの発表に物議
K-POPゆりこ(以下、ゆりこ):前回に引き続きテーマは「K-POPライブのチケット事情」、今回は主に「ダイナミックプライシング」についてお話ししたいと思います。まだ日本での導入予定はないようですが、よそごとではないと心がザワつきました。
編集担当・矢野(以下、矢野):2023年5月に韓国の大手芸能事務所HYBEが導入を発表したチケット販売システムですよね。チケットの需要に応じて価格変動が生じるという。航空券やホテルが平日と祝日、繁忙期と閑散期で料金が違うことと同じようなものかと理解していますが。
ゆりこ:若干オークションの要素が入ってきます。お金を持つ者に有利な世界。もはや「定価」はあってないようなもので、座席の需要で価格が変動するので人気アーティストの良席は値段がつり上がることが予想されます。アメリカでは以前より「チケットマスター」という販売会社を通じてさまざまなアーティストが導入済みです。
矢野:日本でもユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のチケットが同じような売り方をしていますよね。ライブチケットほど価格高騰しませんが。
ゆりこ:そう、すごく目新しい販売方法ではないし、資本社会で生きている限り、需要によって物の価格が変動するのは受け入れざるを得ない。問題は価格の上昇率が常軌を逸していることだと思います。すでにBTSのSUGAさんやTOMORROW X TOGETHERの北米公演では実施されていますが、やはり価格高騰に嘆くファンの声が多く上がっていました。韓国の報道によるとSUGAさんの公演チケットで「400ドルの席を買おうとしたらクリックするたびに値段が上がっていき、最終的には1800ドルまで上昇した」というケースがあったそうです(※)。元の400ドルだって日本円で5万円を超える高額チケット。Twitter上ではさらに高いチケットを買ったという投稿も見かけました。
矢野:理論上では、人気のない公演の見えにくい席であれば安く買える。でもHYBE所属アーティストの場合、あまり期待できないように思いますし、応援しているグループの公演がガラ空きだったらそれはそれで切ない……。
ゆりこ:嫌ですね。自分は適正価格でチケットを無事ゲットしたいけれど、推しグループの公演が埋まらないのも避けたい。ワガママかもしれないけれど、それが本音。
矢野:僕は座席によって価格が違うのは、別に良いと思うのです。ミュージカルやオペラ、歌舞伎、スポーツ観戦もそうですよね。K-POPや他の音楽ライブもVIP席があったりしますし。
ゆりこ:私も同感です! 日本の“ガチャ”的なチケット販売方法に慣れてしまいましたが、ドームの3階席から豆粒のようなアーティストを見つめながら「最前列と同じ料金か……」とモヤモヤしたことがあります。でもファン同士が札束で殴り合いながら良席を奪い合う状況になるなら、今の“ガチャ”の方がマシかもしれない。あくまで消去法です。
矢野:どんなに人気公演でも最大2、3倍まで、など上限価格があればまだ良いのですが。20万円、30万円と天井知らずになるとさずがに……。またBTSが全員そろったときには、いくらまで跳ね上がるのか想像もつかないです。そもそもこのダイナミックプライシングって何が目的なのでしょう? 事務所側の収益拡大?