消防車や救急車が買える!? 「官公庁オークション」がジワジワきている!

近年注目されている「官公庁オークション」をご存じですか? 税金滞納者から差し押さえた物などが販売されているのですが、一体どういうものかというと……。

紀尾井町戦略研究所が運営する「KSI官公庁オークション」​​​​​​

「メルカリ」や「PayPayフリマ」といったフリマアプリ、そしてネットオークション最大手の「ヤフオク!」では、日々さまざまな商品が出品されています。一方、それらとは少し雰囲気が異なり、中には驚きの物も出品されているオークションがあります。それが「KSI官公庁オークション」(以下、官公庁オークション)。一体どういうオークションなのか、この記事で詳しく解説していきます。
 

消防車や救急車も出品されている「官公庁オークション」とは?

官公庁オークションを運営するのは、紀尾井町戦略研究所(以下、KSI)です。2017年にヤフー(現Zホールディングス)の子会社として設立され、2020年4月に独立した民間シンクタンク・コンサルティング企業。官公庁オークションはもともとヤフオク!が行っていたサービスなので、それを引き継いだ形になります。

官公庁オークションでは、消防車や救急車も出品されている

官公庁オークションはヤフオク!などのネットオークションとは異なり、一般市場では購入できない物が出品されることがあります。その代表が救急車や消防車などです。そもそも、一般の人がどうやったら買えるのかも分かりませんよね。ちなみにこれらの緊急車両は、赤色灯やサイレンを取り外すなどして緊急車両として使えないようにすれば一般人でも使用できるそうです。
 

他にも、筆者が確認したときには小中学校で使用する楽器や理科の実験器具なども出品されていました。閉校になった小学校も出品されていたことがあります。このように、フリマアプリやネットオークションでは出品されないような少し珍しい物を購入できるのが、官公庁オークションです。
 

官公庁オークションの概要

官公庁オークションには、以下のような特徴があります。
 

・公売と売却の2種類がある

官公庁オークションは、インターネット公売と公有財産売却の2種類があります。インターネット公売は、各行政機関が税金の滞納者から差し押さえた財産を出品します。落札された物の代金は、滞納者の未納税金の支払いに使われます。例えば一般的な乗用車や不動産、生活用品などは差し押さえた物であることが多々あります。
 

公有財産売却は、もともと行政が所有していた財産を出品して売却することです。消防車や救急車、小学校などは公有財産売却になります。
 

・入札とせりがある
官公庁オークションでは「入札」と「せり」があります。購入したい価格で一発勝負をするのが「入札」で、価格を競っていくのが「せり」です。どちらを採用しているのかは、商品によって異なります。
 

入札の場合、他のユーザーがいくらで入札しているのか分からないので、もしかしたら2番目に高い金額を入札した人と大差で落札してしまう可能性もあります。逆に2番手からすれば、あと少しで落札できたのに……ということもあるでしょう。
 

その点「せり」ならば価格が見えるので、自分の予算に合わせながら競うことができます。
 

・いつでも開催されているわけではない
官公庁オークションは、ヤフオク!のようにいつでも入札や落札ができるわけではありません。開催スケジュールが決まっています。
 

また開催されたからすぐに参加できるのではなく、まずは「参加申し込み」をします。保証金が必要な場合には、納付することになります(商品が落札できなかった場合には、支払った補償金は返還されます)。保証金があるのは、フリマアプリやネットオークションとは違う点ですね。
 

入札が開始されたら、事前に参加申し込みをした商品に入札していきます。落札できたら行政機関の指示に従って必要な代金を支払います。また不動産や車両などは多くの手続きがあるので、行政の指示に従って進めていきましょう。
 

・参加できるのは18歳以上
官公庁オークションに参加できるのは、18歳以上です。また日本語が理解できて、日本国内に住所または連絡先があることが基本的な条件になります。参加料金は無料ですが、落札後の手続きなどに費用がかかることもあります。
 

官公庁オークションを利用するときの注意点

不動産は一度見に行った方が安心

落札しようと思っている物が車両や不動産の場合には、それを見にいく必要があるでしょう。さすがにインターネット上の画像だけで判断するのは難しいと思います。もし住んでいる地域から遠くの自治体であれば、時間や交通費がかかってしまうので注意が必要です。
 

基本的には落札したときの状態で受け渡しになるので、メンテナンスが必要な場合もあります。例えば不動産の場合にはリフォームが必要になるなど、さらにお金がかかる可能性もあります。
 

また官公庁オークションに参加するには、「参加申し込み」が必要です。これを忘れてしまうと入札やせりに参加できなくなるので、日程の確認はきちんとしておきましょう。
 

メリットは相手が行政という安心感

官公庁オークションの出品者は、国税庁や行政です。ある意味、身元がしっかりしているので個人間取引で懸念されるようなトラブルは起きないでしょう。金額が大きくなればなるほど、トラブルへの不安は膨らむもの。それが少ないのは大きな安心感につながります。
 

珍しい物が出品される官公庁オークションですが、実際に消防車や救急車などが落札されていますから、ほしい人にとっては本当に役立つサービスといえるのではないでしょうか。ほしい物があるかどうかは別として、こんなものまで出品されているのか! と思いながらサイトを眺めるのも楽しいですよ。


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