
金融庁の報告書に端を発して話題となった「老後2000万円問題」など、老後の心配事といえばやはりお金ではないでしょうか。厚生年金が適用される会社に転職していればと後悔する人もいるようです。
現役時代にいくら稼ぎ、貯蓄をしておけば安心した暮らしができるのか。All About編集部が実施したアンケート調査から、愛媛県在住67歳女性のケースを紹介します。
回答者の情報
こちらの女性は、独身で子どもあり。現役時代のピーク年収は210万円で、現在の貯蓄額はゼロ。67歳時点の年金額(老齢基礎年金、老齢厚生年金、個人年金などの合計)は4万3000円で、その額には「満足していない」と回答しています。
67歳女性の年金平均額は?
厚生労働省が発表している「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)の平均年金受給額は月額14万5665円。65歳以上女性の平均値を見ると10万9261円。67歳時点の年金額である4万3000円は、平均よりかなり少ないといえそうです。


「35年勤務してますが、厚生年金に加入していません」
年金額に満足していない理由として「設計事務所に35年勤務していますが、株式会社で社員7人もいるのに厚生年金に加入していませんでした」と語る女性。
「離婚も経験し、少ない収入で2人を育てるのは大変でした。国民年金を払える状況にありませんでした。20年の支払い期間をやっと満たし、免除期間も受けての年金受給です。厚生年金が付いていないことが分かっていたのに、ずるずると勤務した結果だと思います。事務所の体制に不満をぶつけ、声を上げるべきでした」と、会社に対する不満を持っているようです。
「雇ってくれるだけありがたいと思っています」
現役時代の後悔について伺うと「設計事務所も辞めてくれと言わないので、65歳を超えても働いています。2級建築士の免許があるので事務所も使ってくれるのかなと思います」と回想する女性。
「まあ、雇ってくれるだけありがたいとは思っています。給料は35年前から変わってないので、年金受給になって良かったです」と、不満を持ちつつも同じ会社に勤め続けているそうです。
「政府も元気なうちは働きなさいと言っているので」
現在の年金暮らしで工夫している節約術があるか伺うと「食べていくのに必死なので、節約術はこれといってありませんが、無駄なものを買わない。電気、ガス、水道もこまめにチェックし、使用料を低く抑える。車に乗るときも、最短距離を考え運転する。自分でできることは自分でし、できなくなったときに、子どもたちに助けを求める。体が資本なので、病気をしないように心がけている。症状がでれば、すぐに病院に行く」とのこと。
今後については「今さら収入の良いところには転職できないので、1日でも長く勤めればよいと思う。政府も元気なうちは働きなさいと言っているので、70歳くらいまでは、体と相談しながら、働こうと思う。親の介護も入ってきたので、少しずつ在宅の仕事に方向を変えようと思っている。今も時々副業をしているが、もう少し仕事があればと内心思っている」と語ってくれました。
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