「即効性のあるもの」はない
子どもに「できないこと」があった場合、「やっぱり遅れているんだ……」と落ち込んだり、「うちの子には無理なのかもしれない」と考えたりしがちだ。しかし理系母さんは「できそうな方法」を考え、「興味を持ったものから広げていく」ことを徹底していた。「とにかく息子に合いそうなものを片っ端からやらせて、そのなかで食いついたものがあったらどんどん与えて進めていく。興味が変わった瞬間や、今までやっていなかったことに関心を持ち始めたタイミングは、特に見逃さないようにしていました。
療育もそうですが、『即効性のあるもの』は絶対にないので、すぐに結果を求めても意味がない。現実的にできそうな対策をとにかく考えてみて、10やったうちの1でもハマればそれでいい。そういうスタンスで取り組んでいました」
本人の好きや興味・関心を大切に
理系母さんの息子は、現在中学3年生。小中学校では支援級に在籍したが、高校は特別支援学校などではない「一般の高校」を受験する予定だ。現在は、時間や物の管理、受験に関すること以外で、親として特に心配していることはないという。いきなり高い目標を設定して焦るのではなく、できそうなことからクリアしていき、苦手なことでもできそうな方法をいくつも考えて試していく。診断名や検査結果にとらわれず「目の前のわが子」にフォーカスし、本人の好きなことや興味・関心を大切にする。その姿勢こそが、息子さんの可能性を大きく開かせたのかもしれない。
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