わが子は「元」自閉症。理系研究者の母が子どもの「自閉症診断が外れる」までにやったこと

自閉症は「治らないもの」というイメージが強いが、3歳のときに自閉症と診断された“理系母”さんの息子は、中学生になってから「診断が外れた」という。発達指数を大幅アップさせるためにやったことを聞いた。

「即効性のあるもの」はない

子どもに「できないこと」があった場合、「やっぱり遅れているんだ……」と落ち込んだり、「うちの子には無理なのかもしれない」と考えたりしがちだ。しかし理系母さんは「できそうな方法」を考え、「興味を持ったものから広げていく」ことを徹底していた。

「とにかく息子に合いそうなものを片っ端からやらせて、そのなかで食いついたものがあったらどんどん与えて進めていく。興味が変わった瞬間や、今までやっていなかったことに関心を持ち始めたタイミングは、特に見逃さないようにしていました。

療育もそうですが、『即効性のあるもの』は絶対にないので、すぐに結果を求めても意味がない。現実的にできそうな対策をとにかく考えてみて、10やったうちの1でもハマればそれでいい。そういうスタンスで取り組んでいました」
 

本人の好きや興味・関心を大切に

理系母さんの息子は、現在中学3年生。小中学校では支援級に在籍したが、高校は特別支援学校などではない「一般の高校」を受験する予定だ。現在は、時間や物の管理、受験に関すること以外で、親として特に心配していることはないという。

いきなり高い目標を設定して焦るのではなく、できそうなことからクリアしていき、苦手なことでもできそうな方法をいくつも考えて試していく診断名や検査結果にとらわれず「目の前のわが子」にフォーカスし、本人の好きなことや興味・関心を大切にする。その姿勢こそが、息子さんの可能性を大きく開かせたのかもしれない。

>後編:否定されたこともあったけど……数学者を目指す「元自閉症」息子の自己肯定感を、母はどう育んだのか


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