わが子は「元」自閉症。理系研究者の母が子どもの「自閉症診断が外れる」までにやったこと

自閉症は「治らないもの」というイメージが強いが、3歳のときに自閉症と診断された“理系母”さんの息子は、中学生になってから「診断が外れた」という。発達指数を大幅アップさせるためにやったことを聞いた。

ゲームを使ってコミュニケーション力をアップ

息子のコミュニケーション力をアップさせるために、理系母さんが活用したツールは「ゲーム」だという。

「保育園のときは、集団でいても、息子はほかの子と遊ぶわけでもなく、1人でやりたいことに夢中。けれど『同年代の子と一緒の場にいること』自体は好きなようでした。その様子を見て『今はひとりで遊んでいるけれど、きっといずれは友達付き合いができるようになるはず』と感じていました」

ゲーム好きだった息子の姿を見た理系母さんは、小学校に入ってすぐに、マルチプレイができるゲームを自宅にそろえた。

「例えば『マインクラフト』を誰かと一緒にプレイすると、短い時間だけでも、『貸して』『これ、ちょうだい』『一緒につくろう』というようなやりとりを、ものすごくたくさんできるんですよね。これを普段の生活の場面でやろうとすると、そういうやりとりができる機会はそこまで多くないんです。

同年代の子と鬼ごっこでは遊べなくても、ゲームだったら一緒にできるはずだと考えました。当時はまだ、学校に友達と呼べる子はいなかったのですが、息子に興味を持ってくれたり面倒を見てくれる子はいたので、思い切って『うちにゲームあるけど、遊びに来ない?』と、その子を自宅に誘いました。親としてやったことはそれくらいです」

ゲームを通じて、人とのコミュニケーションの取り方や誰かと一緒に協力して何かに取り組むことの面白さ、「友達と遊ぶと楽しい」という感覚を学ばせることができたと話す。
 

アプリ画面をプリントして字の練習

子育てをする前からさまざまなデバイスを愛用していた理系母さんは、iPadも発売初期に入手。これが、意外なところで役立つことになる。

「4歳のとき、座って字を書く練習を始めせてみようかなと思ったのですが、当時は今のようにタブレット学習も当たり前ではなかったので、『文字や数を学ぶのであれば、プリントをやらせましょう』とさんざん言われました。

まずは鉛筆に慣れさせようと、息子が好きな飛行機やカーズのモチーフの文具を用意して椅子に座らせようとしましたが、一切やりませんでした。

そこで試しに、iPadで文字の勉強ができる知育アプリをいくつかやらせたところ、文字の形になった道路や線路に車や自転車などの乗り物を走らせるアプリに食いついたので、これを活用できないかと思いました」

アプリ画面をスクリーンショットで撮影しプリントアウトして渡したところ、見慣れた好きなアプリが紙化されたことで、スムーズに鉛筆でなぞれるように。紙に字を書く第一歩に成功したという。
 
好きなアプリを「プリント化」して興味を持たせることに成功(画像は理系母さん提供)


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