「貯蓄が2000万円あっても安心できないって、まるで詐欺だよ……!」
金融庁の報告書に端を発して話題となった「老後2000万円問題」など、老後の心配事といえばやはりお金ではないでしょうか。思っていた老後とは違うと、国にだまされたように感じている人も少なくないようです。
現役時代にいくら稼ぎ、貯蓄をしておけば安心した暮らしができるのか。All About編集部が実施したアンケート調査から、富山県在住64歳男性のケースを紹介します。
回答者の情報
こちらの男性は、既婚で子どもあり。現役時代のピーク年収は50代の頃の770万円で、現在の貯蓄額は2000万円。64歳時点の年金額(老齢基礎年金、老齢厚生年金、個人年金などの合計)は月8万6575円で、その額には「満足していない」と回答しています。
64歳男性の年金平均額は?
厚生労働省が発表している「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)の平均年金受給額は月額14万5665円。64歳男性の平均値を見ると9万843円。64歳時点の年金額である月8万6575円は、同年代の平均よりは少ないといえそうです。
「働き出した頃は60歳から年金をもらえるはずだったのに」
年金額に満足していない理由として「国民年金が65歳からで今は厚生年金のみ。最低の生活費を賄えず、貯金を取り崩している状態です」と語る男性。
「65歳になれば、国民年金ももらえます。それでもギリギリの生活でしょう。働き出した頃は60歳から年金をもらえるはずだったのに、実際は65歳からだし、厚生年金は63歳から。ニュースによると減額は1000万円ほどだそうです。昔は60歳以上は医療費無料だったのに、今は3割負担です。40年前とは異なり、詐欺のように感じます。かと言って、この歳で田舎では仕事はありません。踏んだり蹴ったりです。今は家事全般を担当していて、それ以外は家に引きこもっています」と、自身が働き出した頃の年金制度との違いに不満を持っているようです。
「手に職をつけておけば、60歳を過ぎても仕事があったかも」
現役時代の後悔について伺うと「自営業などで手に職をつけておけば、60歳を過ぎても仕事があったかもしれません。しかし、逆にサラリーマンだったことで厚生年金をもらえているわけで、それはそれで良かったかもしれませんが、手に職があれば長く仕事ができていたでしょう」と回想する男性。
「あとは、何か趣味をもっていた方が良かったと思います。無趣味で家にいると完全に引きこもりと変わりません」と、働き方や趣味について後悔しているとのことでした。
「何か国からの支援があってほしいです」
現在の年金暮らしで工夫している節約術を伺うと「無職でほとんど家にいますので、携帯電話を解約しました。新聞もやめました。ネットニュースやSNSの方が公平な目でニュースが見れるので、新聞はなくても良いかもしれません。コロナ禍もあって外食は一切せず、ひたすら自炊しています。親戚と会う機会や遠出がないため、交通宿泊費を使っていません。日中はなるべく照明やテレビ、冷暖房も使わずに、着ている服の調節で頑張っています」とのこと。
今後については「もう少し年金が増えて、1年に一度は旅行に行けるだけのお金の余裕がほしいです。子どもが1人しかいませんので、体が動けなくなったときに国の支援があれば助かります。また、社会保険料や医療費が免除になれば、今後安心して死んでいけるような気がします。それから、自分が死んだときの戸建ての住宅、土地の後始末が心配です。何か国からの支援があってほしいです」と語ってくれました。
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