大学附属校なのに留年や退学も!? 入学してみて驚いた「大学への進学率100%」のウソとホント

意外に知られていない大学附属校の現実とは……。今回は、入学してみて初めて知った事実に驚き、ショックを受けたという保護者の声をご紹介します。

中学受験を乗り越えた先で、保護者が見た現実とは(※画像はイメージ)

過酷な中学受験を乗り越え、晴れて入学。子どもが通い始めて初めて知った現実に驚き、ショックを受ける保護者も少なくないようです。大学附属校を選択した保護者たちへの取材から見えてきた想定外の学校生活とは……。
 

ケース1.「高校からの大学進学率100%」に安心できない理由

自由な校風の大学附属校に中学から通っているC君。中学受験で頑張った反動か、中学入学後は勉強をしなくなってしまい成績はあっという間に下位に転落。慌てて塾に通わせ、なんとか浮上することができたそうですが、実は、学習習慣がないまま高校生になってしまうと後に大変な事態が待ち受けているようで……。


「高校生になると、一定の成績が取れない場合は留年。しかも2年連続で留年すると退学させられるシステムになっていて。息子と仲が良かった子が1人、退学しました。成績が振るわないと、転校先の資料を渡されることもあるそうで、退学させられる前に、やんわりと自主退学をすすめられると聞いたことがあります」(C君の母親)


つまり、系列大学への進学実績は「中学時に入学した生徒の100%」ではなく、「高校3年時に在籍していた生徒の100%」ということ。高校3年に進級する前に一定数の生徒を振り落とす学校もあるということです。


「大学附属校の中には中学生でも留年させる学校がありますよね。学校の勉強についていけずに留年するか、公立中学へ転校して高校受験するかの選択を迫られた先輩の話を息子から聞いたこともあります」(C君の母親)
 

ケース2.「まるで大学みたい」な学校のメリットはデメリットにもなる

大学受験の勉強に翻弄(ほんろう)されることなく興味関心のあることを自由に学んでほしい、そんな願いで入学させたものの、なかなかうまくいかないDさんのようなケースもあるようで……。
 

「自由な校風の学校では特に、学習面では大学生並みの自己管理が求められます。課題を自分で見つけて自分で掘り下げていく、学びたい意欲のある子にはとことん付き合ってくれる先生がいます。大学の図書館も使えるので、どんどん専門領域に踏み込んでいけて、高いレベルの研究ができるのは素晴らしいですよね。大学生になってからさらに学びを深められます。うちの子は大学の図書館を一度も利用したことがないようですが(苦笑)。
 

まるで大学の教授のような距離感で、先生たちは勉強を強制しません。積極的な子の勉強の後押しはしますが、学習意欲のない子のサポートはほとんどないですね」(Dさん)
 

ケース3. 他大受験“前提”で進学校タイプの大学附属校を選んだ後悔

「○○大学附属」という名前がついている学校でも、実際は系列大学への進学率が少ない学校もあります。進学校同様にほとんどが大学受験をする学校、高い割合で系列大学以外の大学を受験する学校などさまざま。
 

「3割程度が系列大学に進学せず他大学を受験する」と聞いて、大学受験を前提に学校選択したEさんは「こんなはずじゃなかった……」と頭を抱えています。
 

「娘は第一志望の難関附属中には届かず、近所にある中堅の附属校に入学しましたが、大学受験で再び上位校を目指せばいいと思っての選択でした。いざ入学すると、娘は友だちと一緒に系列大学に進みたいと言い出して。学校のほうも大学受験対策に熱心とはいえず、受験向けの授業よりも教師のマニアックな思考に沿った授業が多いようです。よほどの向上心がないと、他大学を受験しようとはならない。今となっては『とりあえず留年しないでくれたらいい』と願っているような状況です」


「入ってみなければ分からない」のはどんな学校でも同じですが、入学した先にどんな生活が待っているか、可能性をいくつか想定しておくだけでも覚悟が変わってきます。学校説明会で並べられるキーワードだけでは見えない現実を知っておくことで、学校を選ぶ目も違ってくるかもしれません。


※本記事は保護者取材をもとに構成しています。最新情報と異なる場合もありますので、ご了承ください。


古田綾子 プロフィール
雑誌・ウェブメディアの編集者を経てフリーランスライター。2児の母。子どもの受験をきっかけに教育分野に注力。自らの経験にもとづいた保護者視点で、教育界の生の声やリアルな体験談などを取材・執筆。
 

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