「上位クラスに“性格の悪い陽キャ”が」と娘のSOS…中学受験を断念→公立中に進学したそれぞれの事情

少子化が問題視される一方で、首都圏で中学受験をする子どもは過去最多。しかし、さまざまな事情で中学受験から途中離脱する家庭も少なくありません。今回は、中学受験から一転、公立中へ進学する道を選んだ保護者から話を聞きました。

少子化問題の一方で、2023年の中学受験者数が過去最多を更新したとの報道も記憶に新しいところ。とはいえ、小学生にとっては過酷を極める中学入試、さまざまな事情で「途中離脱」する家庭も少なくありません。今回は、中学受験から一転、公立中へ進学する道を選んだ保護者から話を聞きました。

中学受験をやめる理由も人それぞれ(※画像はイメージ)

大好きなサッカーができなくなってバランスを崩したAくんの場合

運動神経抜群で塾との両立を頑張っていたサッカー少年のAくんは、足の骨折がきっかけでサッカーを休止。時間的な余裕ができたはずなのに、むしろ勉強だけの生活がストレスとなり、イライラするようになったといいます。
 

「サッカーができないもどかしさに加えて反抗期も重なったと思うのですが、毎日イライラして、暴言ばかり。だるいといって学校や塾も休むようになってしまって……」(Aくんの母親)
 

中学受験の有無にかかわらず、不登校の小学生は増加傾向。文部科学省が2022年10月に発表した「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、全国の小中学校で2021年度に学校を30日以上欠席した不登校の児童生徒は前年度から4万8813人(24.9%)増の24万4940人となり、過去最多を記録。不登校の子どもは9年連続で増加している状況です。
 

原因は人間関係……「いじめ」を機に中学受験塾を断念したBさんの場合

「娘はいわゆる“陰キャ”なので、小学校時代は女子グループからいじめを受けたこともあり、なかなか友達ができずに苦労しました」

というBさんの母親。小学校の人間関係から離れて中学生活をスタートしたほうがいいだろうと考え、4年生からN塾に通いはじめました。順調に成績が伸び、上位クラスになると、そこにいたのはBさんが小学校で苦手としている女の子。


「娘がいうには“性格が悪い陽キャ”。その子から学校でいじめに遭っていたのですが、運が悪いことにその子が塾でも同じクラスになってしまいました。転塾も考えましたが、塾に対するアレルギー反応のような状態になってしまって……」


5年生の春に退塾すると同時に中学受験からも撤退。もともと勉強が得意だったBさんは、低学年から続けていた英会話と公文を再開して、そのまま地元の公立中学に進学しました。


現在は、高校受験塾に通って最上位クラスをキープ。公立トップ校を目指して勉強中だといいます。あえて学区から離れた塾を選んだことで、塾内では学校の知人と関わることなく勉強に集中できているのだとか。

 

頭痛、腹痛、帯状疱疹……ストレスが体に出てしまったCくんの場合

「長男がスムーズに中学受験を終えて第一志望の中学に通いはじめ、私立の良さを実感しました。次男にも同じく充実した環境を与えてあげたいと思ったのですが……」


と語るのはCくんの母親。本人の意思が特にないまま5年生でW塾に入塾したCくん。学校のテストでは難なく100点を取れるタイプなのに、塾での成績は中の下。テキストは落書きだらけで授業に集中できていないように見えました。


「塾のない日に友達と公園で遊ぶのが何より好きで元気いっぱいなんですが、塾の日になると頭痛や腹痛を頻繁に訴えて休み(サボり?)がち。それでも塾はやめないと本人が言うので、続けていました」


それがある日、息子の顔を見て眉毛が半分ない状態になっていることを発見。調べてみると「抜毛症(抜毛癖)」という自傷行為のひとつである可能性が考えられました。さらには身体に発疹も出現。病院に駆け込むと、ストレスや免疫力低下による帯状疱疹だろうという診断だったそうです。


「そもそも受験したいという意思が本人にはなかったのに、どうやら塾には行った方がよさそうだという空気を察して、無理をしていたんだろうと思います。大人が決断してあげるべきだと思いました」


中学受験コースをやめて、今は別の塾の公立中進学コースに通っているCくん。和気あいあいとした雰囲気をCくん本人も気に入り、成績もクラス内で上位にいるそうです。


「別人かと思うくらい元気になり機嫌もよくて。“牛後”より“鶏口”の方がフィットするタイプなのかもしれません」


費やしてきた時間やお金、本人の努力のことを考えるとつい、「ここで諦めるのはもったいない」という意識が働いてしまい、一度始めたらやめることが難しい中学受験。とはいえ、勉強ができるタイプの子であっても、無理をして心身のバランスを崩してしまっては本末転倒です。
 

受験勉強の継続よりも、本人の心身の健康を最優先したBさんやCくんのように、子どもそれぞれに合った環境やペースを考え、撤退する勇気が必要な場合もあるかもしれません。


古田綾子 プロフィール
雑誌・ウェブメディアの編集者を経てフリーランスライター。2児の母。子どもの受験をきっかけに教育分野に注力。自らの経験にもとづいた保護者視点で、教育界の生の声やリアルな体験談などを取材・執筆。


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