デートや婚活、結婚式……恋愛や結婚にはお金がかかる。特に現代社会においては、働き方や生き方の多様化が進み、恋愛とお金に対する価値観も変容している。本連載では、これからの「恋愛とお金」について、アラサーの恋愛ライター・毒島サチコが取材をもとに考察。第15回は「田舎と都会のデート事情」について紹介する(第14回はこちら)。
上京10年。華やかなインスタとは裏腹に「私、何してるんだろう」と思い
「28歳まで独身だったら地元に帰る」そう話していた友人・A子が、宣言通り地元に帰った。
彼女は大学進学とともに地元・四国を離れ、20代のほとんどを東京で過ごした。何人かの男性と付き合ったり別れたりしながら、上京10年の節目に地元企業への転職を決めたのだという。
A子のInstagramには、都内のおしゃれなレストランやバーで食事をしている華やかな様子が頻繁にアップされていた。東京を謳歌(おうか)していると思っていたA子が、本気で地元に帰ると言い出した時は、筆者を含め、周囲の友人たちはとても驚いたのだ。
「高校の友達は、みんな結婚して子どもがいてさ。満員電車の中でふと『私、何してるんだろう……』って思うようになって」
地元の友人のInstagramにアップされた「結婚・出産報告」「マイホーム購入報告」を見ながらつぶやくA子の言葉に、筆者は共感しつつも「A子は東京に疲れたのかな……」とぼんやり考えていた。
東京は恋愛するには楽しい街だけど、結婚するには不向きな街
A子のように、アラサーで「地元に戻る」と決断し、東京から地元へUターン転職を決める女性は多い。「結婚を現実的に考えた時、地元に戻りたいと考えるようになりました。両親もいて子育ての協力も得られるし、経済的な安心感もある。東京は刺激的で楽しい街ではあるけれど、楽しむためにはお金がいるので」
こう話すのはサチカさん(29歳/仮名)だ。彼女もA子と同じく、コロナ禍で東京から地元に戻った。
「最初は東京で結婚したいと思って、マッチングアプリを使って婚活をしてみたけど、ドタキャンも多いし、1度のデートで5000~1万円ほどかかる。今後どうなるか分からない人とデートを重ねるのは精神的にも金銭的にもきついなと思うことが増えて」
サチカさんは男性とのデートでも“割り勘派”。婚活中に出会った人たちと「初回デート」を繰り返した時期もあったというが、次につながるかどうか分からないデートにお金をかけるのはきつかったと話す。
「東京にいると『もっといい男性がいるかもしれない』とか、デートのお店も『前のところのほうが良かったのに』とか、どんどん欲が出ちゃって」
サチカさんは「東京は恋愛するには楽しい街だけど、結婚するには不向きな街」だと語る。
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