韓国の“インフラ”「カカオ」がSMエンタを手に入れたかった3つの理由【K-POPゆりこの沼る韓国】

M世代の韓国エンタメウォッチャー・K-POPゆりこと、K-POPファンのZ世代編集者が韓国のアイドル事情や気になったニュースについてゆるっと本音で語る【K-POPゆりこの沼る韓国エンタメトーク】。韓国エンタメ初心者からベテランまで、これを読めば韓国エンタメに“沼る”こと間違いなし! #15はSMエンターテインメントの大株主となった、韓国で圧倒的なパワーを持つ企業「カカオ」について。

HYBEに譲れなかった理由、ライバル“NAVER”の存在

HYBE議長、バン・シヒョクさん
HYBE議長、バン・シヒョクさん(※6


ゆりこ:「Weverse=HYBE」のイメージ、分かります。でも実はNAVERとの共同出資事業なのです。

※2社が出資するWEVERSE COMPANYが運営
 
矢野:じゃあ、今回のSM争奪戦でも背後にライバルの名前がチラつくHYBEには絶対負けたくなかったでしょうね。カカオのプライド的に。
 
ゆりこ:当初はカカオも同じようなプラットフォームを作って対抗する予定だったみたいです。SMアーティストはWeverseに参加していませんから。でも結局(カカオとSMは)プラットフォーム事業に関しては、HYBEと手を組むことになったので……正式発表を待たずとも、なんとなく察しがつく。
 
矢野:そこは譲ったのですね。タダでは起きないHYBEの交渉力もさすが。カカオとしても、すでに成功している既存システムに乗っかるのもコスパ良しとジャッジしたのかもしれない。イチK-POPファンとしてはプラットフォームを一元化してもらえるのはありがたいですし。
 
ゆりこ:同意です。もう推し活ツールを増やしたくないなぁ(笑)。今回のSM買収劇ではグループのエンタメ部門「カカオエンターテインメント(以下、カカオエンタ)」が主軸となって動いていました。カカオエンタはグループ内外のいろんな会社や組織を切り貼りして、買収したりされたりしてできた子会社です。前身は「カカオ M」という上場会社だったのですが、1度は親会社のカカオ本体に吸収されて上場廃止になってしまったのです。
 
矢野:(ネット検索しながら)カカオエンタの社史をググってみると、なかなかフクザツですね。
 
ゆりこ:でしょう。そんな中で2022年上半期にカカオエンタとして再上場を目指したのですが、複数の問題が発覚して上場延期となったんです。つまり、市場からの信頼が低下していた状態でした(7)。
 
矢野:だからこそ信頼回復とエンタメ業界での存在感UPのための“強い武器”が欲しかった、ということですね。そこでSMに目をつけたと。
 

>次ページ:カカオの課題は「海外進出」 SMエンタは最強の切り札となるか

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