韓国の“インフラ”「カカオ」がSMエンタを手に入れたかった理由
ゆりこ:私もこの数カ月間、韓国での報道を見ていたのですが、そこで言われていたことは大きく分けて3つで、「K-POP関連のIP(知的財産)の強化」「ライバル“NAVER”の存在」「上場するため」でした。
矢野:まず、「K-POP関連のIP(知的財産)の強化」はつまり、先ほど僕が挙げた「K-POPに関する権利やノウハウを使ってエンタメビジネスをさらに拡大していこう」って部分ですよね。
ゆりこ:はい。SMのアーティスト、楽曲はすでに世界中で売れる最強のコンテンツです。それにカカオが以前からK-POP事業に着手していたのも事実で、傘下にはすでにIUの所属する「EDAMエンターテインメント」や、今売れに売れているIVEの「STARSHIPエンターテインメント」も入っています。
矢野:最近IVEがアメリカ進出するというニュースを見ましたよ。コロムビア・レコードと提携したとか(※2)。
ゆりこ:そうそう。それにカカオは2016年に買収した韓国最大の音楽配信サービス「MelOn」も運営しているので決して“K-POP素人”な企業ではないのです。しかしあらゆる分野で最大のライバルといえる「NAVER社」の存在を考えると、悠長に構えていられない事情がある。
矢野:NAVERは僕も名前を知っています。日本のLINEも元々はNAVER発でしたよね。エンタメも強いのでしょうか。
ゆりこ:NAVERは元をたどるとサムスンの子会社の一部門から派生した巨大IT企業です。検索ポータルサイトとしてはGoogleに追われつつも、いまだ韓国シェアトップ(※3)。多大な資本と影響力を持って、エンタメ事業にも乗り出しています。
例えばWeb漫画。日本ではカカオ系の「ピッコマ」がシェア1位ですが(※4)、韓国やアメリカなどでは「NAVER Webtoon」が優勢(※5)。あと日本でも一時期流行した「ZEPETO」、CJ ENMと共同出資で映像配信サービスにも資本を入れています。そして何よりK-POPファンおなじみのプラットフォーム「Weverse」も!
矢野:えっ? 「Weverse」ってHYBEのサービスですよね?